形だけでも［完結］ (ページ18)

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形だけの愛がよかったページ18

全てが終わって服を整える。

後悔はしてない。

北斗｢明日は学校こいよ｣

『考えとく』

先生が帰る。
心地のいい時間が終わる。

『先生』

北斗｢なに？｣

『ありがとう』

そう言ってさいごの口付けを交わした。

先生に愛して貰えるなら、耐えられる気がした。
これからのことなんて、また考えればいいかもしれない。

_

その日の夜も父と…。

ただ、

父｢クソっ、｣

いつもなら何も感じない乱暴な父の行為に
何故か苦しさを感じた。

本当の愛を知ってしまったからだ。

･

父が眠っている間に外へ出た。

終電ギリギリで電車に乗ってやってきたのは、
先生と訪れた思い出の海。

愛が欲しかった。
ずっと愛されたかった。

でも愛を知ったら、愛のない行為が怖くなった。

耐えられるかも…？
そんなはずなかった。

先生と出会う順番が違っていたら…
私が奥さんよりも先に先生と出会っていたら、
何か違ったのかな。

ううん、そんなことない。

人って愛を知ると弱くなるんだ。

どちらにしろ、私はこうなる運命だった。

汚れた私に、本当の愛なんて相応しくなかった。
ただの毒だ。

形だけでも良かった。
それで十分だったのかもしれない。
いや違うな。

･

形だけの愛が、ちょうど良かったのかもしれない。

･

自分の身体が海に沈んでいくのを感じる。
全身が水に流されて、綺麗になっていく。

さいごに先生と話せて良かった。
決心がついた。

あぁ、来世では松村先生と結ばれたいな。

砂浜のベンチに置かれた私のスマホには、先生宛の、まだ既読の付かないメッセージ。

【先生私に愛をくれてありがとう。愛してたよ】

fin.