形だけでも［完結］ (ページ7)

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熱ページ7

目が覚めると、時間的に今は6時間目の途中だろうか。体育は5時間目だったから、結構寝てたかもしれない。

私は養護教諭の吉田先生に声をかけられた。

吉田｢あ、朝霧さん、気分はどう？｣

『んー…ちょっとだるい』

体育の途中で倒れた私は松村先生に運ばれたみたい。
どうやら熱があるようだ。寝不足なども重なってしまったのだろうか。

吉田｢お家の人に迎えに来てもらおっか。今家に誰かいる？｣

…は？
無理に決まってる。

どうしよう。

『親は仕事なので、1人で帰ります』

吉田｢えっだめよ！体調不良の生徒は1人で帰せない｣

じゃあどうしろって言うんだ。
職場に電話でもする？
勘弁して欲しい。

松村｢失礼しまーす、あ、起きたんすね｣

吉田｢そうなんですけど、熱があって。親御さんに迎えを頼もうかと思うんですけど仕事だから1人で帰るって聞かなくて…｣

松村先生は私をじっと見て、少し考えた。
そして言った。

松村｢じゃあ俺送っていきます。担任ですしこの後暇ですし｣

『え』

吉田｢ほんと？じゃあお願いしようかな。朝霧さんの制服と荷物取ってくるからちょっと待ってて！｣

松村｢あ、せんせー俺の鞄もー｣

そして吉田先生は扉を閉めて出ていってしまった。

松村｢吉田先生、俺の鞄持ってきてくれるかな｣

『しらない』

私はベッドに横になって布団を被った。
松村先生に背を向ける。

今、保健室に2人きり。
熱のせいかちょっとドキドキする。

『ん、冷たい…』

頬に冷たい感触。
よく見ると松村先生の手。

松村｢お前が熱いんだよ｣

背中越しに聞こえる低くて心地よい声。
頬に伝わる冷たさ。

松村｢今朝、声掛けたのに｣

『せんせ、つらい』

私がそう言うと、松村先生は困った顔をした。

松村｢そんなこと言っても俺は医者じゃないからなぁ｣

＿でも

＿俺に伝染してもいいよ

そう言って先生は私に口付けた。
私、病人なのに、全然優しくないそれ。

『っ…はっ、まって…』

先生の胸をトントン叩いて限界を伝える。
するとニヤってして私の頭を撫でた。

松村｢そろそろ吉田先生戻ってくるかな｣

なんて平然と椅子に座る先生の気持ちがわからない。