Bottle gourd【レッドアイズ監視捜査班】② (ページ5)

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別の日

@モニタールーム

小牧｢うーん、物騒な事件が多いなぁ｣

『そうですね』

小牧｢冷たいなぁ。いい加減その敬語やめない？｣

『…』

小牧｢えー悲しい。ねぇ？｣

小牧さんは
長篠さんに話しかけようとそちらを見た。
けれど彼女は…

長篠｢…｣

被害者のデータをじっと見つめていて
私たちの視線に気づかない。

『長篠さん？』

長篠さんは突然スっと立ち上がった。

小牧｢どこ行くんすか｣

長篠｢ちょっとセンター長に報告が｣

小牧｢あぁ、はーい｣

センター長に報告…
特にそんなもの無かったと思うけど。

扉の閉まる音を聞き、私は小牧さんを見た。

私はすぐに長篠さんの椅子に移って、
小牧さんからさっき受け取ったUSBを
彼女のパソコンに差し込んだ。

彼女の、過去一時間の
パソコンの履歴を調べるために。

『んー…』

データの読み込みは思ったよりも時間がかかる。

しかも机の上には彼女のスマホが置いてある。
すぐに戻ってくる可能性もある。

私と小牧さんはひたすら
Copy durationのゲージを見つめる。

とてつもない緊張感。

心の中ではやく！と何度も唱える。

すると伏見さんが廊下へ出て行った。
足止めをしてくれるのだろうか。

『…できた』

読み込みが完了した。

それとほぼ同時に部屋の扉が開く音がした。
私は急いでUSBを抜き、自席に戻った。

不審そうにこちらを観察する長篠さん。
私たちは何も知らないふりをして
パソコンを眺める。

…バレたか？

『どうかしましたか？』

長篠｢…いえ｣

長篠さんは机の上のスマホを取り、
また部屋を出て行った。

もう戻ってこないのを確認し、
USBを小牧さんに渡す。

『ふぅ…どうぞ』

小牧｢ありがとうめっちゃ助かる｣

ギリギリだった…。

小牧｢で、敬語はいつ無くなるの？
いつまで僕は小牧さんなの～｣

『あ、その話続いてたんですか？』

しかもなんか増えてるし。

別に大学時代も敬語で話してたし、
名字にさん付けで呼び合ってたじゃないか。

小牧｢ねぇ～｣

駄々っ子のような小牧さん。

『分かったから…敬語だけね』

小牧｢え｣

『不満なら戻しますけど』

小牧｢待って！びっくりしただけ！戻さないで！
今はそれだけでも満足！｣

嬉しい…と呟く小牧さん。

今は、か。

よく分からないな、この人は。

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