Bottle gourd【レッドアイズ監視捜査班】② (ページ35)

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Rabbitear iris ページ35

@取調室

長久手【何でこんなことやったんだ】

ありきたりな言葉を投げかける長久手刑事。
しかし一向に返答は来ない。

当の本人はぼーっとしていて、
何も話す気がないようだ。

私は取調室の外でその様子を見ているけれど、
これでは埒が明かない。

『…長久手刑事、私も中に入って話したいです』

ダメ元でお願いしたら、
案外すんなり許可が降りたので
私は取調室に足を踏み入れた。

｢…あんた……｣

私を見てやっと言葉を発した彼女。
憎い相手の私になら反応を示すと思っていたよ。

『元気そうで何よりです。悠香さん』

長久手刑事と姉川刑事が見守る中、
取り調べが再開した。

『何があなたを変えてしまったんですか？』

悠香｢うるさい…あんたに私の何がわかる｣

『分からないから聞いてるんです』

私がそう言うと、
悠香さんは何かを考え込むような目をした。

『教えてください』

でも悠香さんは何も話さない。
何か葛藤しているような様子。

悠香｢…娘さんに、海外留学の夢を諦めて欲しく
なかった…最初は本当にそれだけだったのに…｣

それだけぽつりと話して黙ってしまった。
あの話は全てがお芝居だったわけじゃないんだ。

だけど本当にそれだけ？
それだけであそこまで大きなことになるだろうか。

悠香｢あんたが嫌い｣

『え？』

悠香｢要先輩をとられたくない…っ｣

悠香さんは立ち上がって私の胸ぐらを掴んだ。
長久手刑事たちが慌てて止めようとするけれど
私はそれを手で制した。

悠香｢私が何したっていうの？
私はただ、自分の感情に正直になっただけ！！｣

お金が必要。
要くんをとられたくない。

その2つが、彼女を狂わせてしまった。

姉川｢石山さんこれ以上は…｣

『悠香さん、私今、要くんと付き合ってるの』

悠香｢…は？ふざけんな！｣

『ふざけてんのはどっちよ。悲劇のヒロインぶって、
ただ私を睨んでるだけで被害者ヅラしてるあんたが、
要くんと付き合えると思ってたわけ？』

私はハッとした顔の悠香さんの手を振りほどいて、
目を見た。

『今のあんたじゃライバルにもならない。
…また話す気になったら呼んでよ』

私は長久手刑事に一礼して部屋を出た。

＿＿＿＿

fin.

Rabbitear iris ″カキツバタ″
花言葉…｢幸せは必ず来る｣