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･
僕はハッキングに明け暮れるようになった。
もしかしたら
石山さんを見つけられるかもと思って。
石山さんが見つけてくれるかと思って。
でもそのうちハッキングが僕の全てになって、
いつの日か彼女の記憶も薄れていた。
その方が都合も良かった。
そしてとうとう防衛省のサーバーにまで手を出した。
4回目までは上手くいってた。
でも、5回目。
前回までとは比べ物にならない
綿密に作られた複雑なプログラム。
『何これ…』
ご丁寧に罠まで仕掛けてもらって…。
結局僕は逮捕された。
取り調べの時に会った綺麗な女の人は
どこか見覚えがあった。
そしてずっとあのプログラムを研究していると、
発見したプログラミングの癖。
見た事のある打ち込み方。
取り調べの時の綺麗な女の人。
そこで僕は、彼女を思い出した。
前科者になってしまった僕じゃ、
優秀な君とは釣り合わない。
防衛省のサーバーをプログラミングするなんて、
警察で働いているなんて、
僕とは本当に正反対になってしまった。
もう会うことはないかもしれない。
･
そう思っていたのに、
まさか隣で働くことになるなんて。
でも彼女は、
僕のことを全然覚えていないようだった。
いや、思い出さないようにしていた。
だから僕も
あまり覚えていないフリをすることにした。
久しぶりに会った石山さんは、
昔より更に綺麗になってて、
KSBCの情報捜査官としてかなり優秀に見えた。
だけど、
自信のなさに磨きがかかっていた。
自分の感情や意見をすぐに飲み込んで
我慢してしまう彼女。
不安そうで、辛そうで、
消えちゃいそうな君を見ていると
やっぱり放っておけなかった。
ここからやり直せるだろうか。
あの時出せなかった勇気を出せるだろうか。
隣にいることを、
許してもらえるだろうか。
僕を見つけてくれた石山さん。
少しでも可能性があるなら…
僕は紅羽ちゃんの隣にいたいと思うよ。
ねぇ紅羽ちゃん、
『僕たちが会えたのって、結構運命的じゃない？』
＊Linaria fin.
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
Linaria ″リナリア″
花言葉…｢この恋に気づいて｣
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作者名：らぎ
| 作成日時：2021年3月5日 14時
