･＊･ ページ22
15:37頃
悠香さんは
刺されたところを抑えて辛そうにしている。
＿ﾌﾞｰﾌﾞｰ
男のスマホが鳴っている。
｢余計なことすんじゃねぇぞ｣
そう言って見張りの男は出て行った。
『小牧さん、こんな時に聞くのもあれだけど…
悠香さんって…？』
小牧｢大学の時の後輩。結構慕ってくれてて、
優しくしてくれてたからさ。
今回も会いたいって言われて断れなかったの｣
そういう事だったのか…。
確かに大学時代、小牧さんにひっついてる
女の人を何度か見た気がする。
小牧｢昔から、
石山さんにも憧れてるって何度も言ってた｣
石山さんも何回か話したことあると思うよと言われて、薄ら記憶が蘇る。
話したこと、あったような気もする。
でもそれ以上に…。
いや、今は考えるのはやめよう。
私は悠香さんの方をもう一度見た。
『悠香さん？』
瞬きの時間が長くなっている。
このままではよくない。
小牧｢悠香しっかり…！寝ちゃダメ｣
その声で悠香さんはハッとして、こちらを向いた。
小牧｢悠香、
ちゃんと話してくれないかな。どうしてこんなこと｣
悠香｢お金が、必要だったんですどうしても。｣
悠香さんはこうなった経緯を話し始めた。
悠香さんは2年のときに大学を中退し、
派遣のプログラマーとして働いていた。
その時にとても親切な上司に出会い、
その家族と食事をしたこともあった。
けれど悠香さんの決定的なミスで責められて
その上司は自 殺してしまう。
娘さんの海外留学への夢が絶たれてしまった。
お金がないせいで夢を諦めて欲しくなかった。
だから闇サイトに手を出した、と。
悠香さんは親が経営に失敗し大学を中退した。
昔の自分と娘さんを重ねていたんだ。
すると突然悠香さんはお腹を抑えて苦しみ出した。
小牧｢悠香…？悠香？｣
心配そうに小牧さんが立ち上がると同時に
扉の開く音がして、男が帰ってきた。
｢おい！動くな！…この女はまだ大丈夫だ｣
小牧｢でも…｣
小牧さんがそう言うと、
男は私にナイフを突き付けた。
すると小牧さんはすぐに大人しく座った。
｢さっさとやれ！｣
小牧さんは作業を再開した。
これじゃあ私、小牧さんにとってただの足枷だ…。
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作者名：らぎ
| 作成日時：2021年3月5日 14時
