初恋なんて実らない。 (ページ9)

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注目すべきはエースの態度。

昨日の会話で効果があったのかな、少しの会話だったら口を聞いてくれるようになった。
まあ、あの憎まれ口っぷりは健在だけど嫌われぶりがだいぶ薄まって嬉しい。

彼らと住んで二週間ごろ。

頭の傷は血が止まり、かさぶたが取れ始めた頃。
走っても気分悪くならないし、もうほとんど治っているかもしれない。

もうそろそろ、あの家を離れなきゃならないのかな。

「A！今日もいろいろ教えてくれ！！」

「うん、いいよ」

あと数えるくらいしか教えられないから。

そう言うルフィは私の手を握りながら稽古場へと行く。
ルフィはよく私に甘えてくる。
膝に乗ったり、抱きついてきたり。
私も嬉しくて、最近は積極的に膝の上に乗せてるけど。

まだ母親に甘えたい盛りだからかな。
この子達の親は知らない。
ダダンさんも引き取っているだけだし、もしかしたら両親がいないかもしれない。

ぎゅ、とルフィの小さい手を握ると、握り返してくれた。

すると、

「年下の特権使ってんじゃねーよ！」
「いてェ！！急に殴るなよ、エース！！」
「もーどうしたのエース？・・・もしかして、手繋ぎたかった？」
「ばっ・・・ちげェよ！！誰がお前なんかと！！」
「ふっふーんそんな事しなくても繋ぐよーほら」

そう言って手を差し伸べると、パシッと手を払われた。

心境は懐かない野良猫を引き取った感じ。
・・・まあ、じっくり慣れていったらいいしね！！急ぎすぎると失敗するし！！

そう自分を言いくるめると、サボさんがやってきて、

「ルフィ、早く行くぞ」

そう言って私と繋いでいたほうの手を取りそのまま引いていった。

「・・・」

・・・え、何事？

まさか、サボにマイ天使を奪われるだなんて。いや、サボも十分天使だけど。

天使に天使強奪された。