初恋なんて実らない。 (ページ18)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:18,115 hit

17 ページ18

あの後、盃を交わした私はあの子達と兄弟になった。
どこからお酒を取ってきたかは怖くて聞けなかったけど。

「わー弟かぁー！私末っ子だから新鮮だわ！こんな可愛い子が弟とかお姉ちゃん泣いちゃう！」

「俺も、Aが姉ちゃんなの、すっげぇ嬉しい！」

にこーと笑うルフィ。

「サボ。兄弟って事はお互いで結婚できねぇよな」

「まあ、そうだな。・・・まさか、Aと？」

「おっ、俺はしねぇよ！聞いただけだ！」

「言ったな？」

「あたりまえだ！！あんな怪力、女じゃねーよ！！」

「なーに話てんのかなーエースくぅぅん！？」

「いだだだだA止めろ！！いや、止めてくださいぃいい！！」

「はい、よく言えました」

つねっていた手をほっぺからはなすと、赤くはれたところをさすり涙目で訴える。

「こんなゴリラみたいな奴ぜってー結婚できねー！！」

「できるわ！！めっちゃイケメンな人捕まえるし！！」

「“襲う”の間違えだろ！！・・・まぁ、できなかったら俺が嫁にもらってやる。安心しろ」

「できないの前提で話し進めんな！！！」

嫁に貰ってやる、ねぇ。
十歳児の口から出たとは思えないプロポーズだ。

「そういえば、Aはなにになるんだ？」

サボ達は海賊になるって言ってた。
ルフィなんか海賊王だ。

私にそんな夢はない。
むしろ今この一瞬一瞬が一番楽しくて、幸福なのだ。

家を出たときは夢なんて考えたことがなかった。
ただ、自由になりたい。
その一心だった。

しいて言うなら皆とこのまま暮らしたいんだけどね。

なかなか答えの出ない私に、サボが提案する。

「決まってないなら海賊になれよ！！それで俺の船に乗れ！」

「あーずるいぞサボ！Aは俺の船に乗るんだ！！」

「ちげーよ俺の船だ！！」

乗せる乗せないって私は積荷か！！

今はないとしても、このまま生きていったらおのずとやりたい事ぐらい分かるはず。
夢はそのときに決めよう。

・・・

「俺、後十年したらイケメンになるかな」
「サボだもん。絶対格好いい人になってるよ」
「じゃあ、そのときになったら・・・やっぱなんでもねぇ」