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この街はいびつだ。
王族を中心に、まわりに貴族を、その他を適当に散らばらせているこのつくりは、見えない壁が具現化したように彼らを分けている。
普段見えない貧富の壁を見えさせるとこのようになるのだろうか。
生まれてきたときと変わらないこの情景に嫌気がさす。
ひときわ高く聳え立つ塔を睨むと、民家から一人の女の子が顔をのぞかせた。
「かあさん！Aちゃんだよ！Aちゃんが来てるよ！」
「あ！強いお姉さんだ！また悪い人倒しにきたの？」
「おや、Aちゃんじゃないか。最近見ないが、元気だったかい？」
「うん、もちろん！最近コルボ山でこの子達の師匠やってんの。だからあんまりこっちにはこれないけど、困ったことがあったらいつでも来てね。」
長老さんに手を振って大門をくぐる。
「へぇ・・・慕われてんだな」
「元々ここに住んでたからね。端街に行くときのボディーガードしてたの」
隣には左右に揺れながら進むコートの男。
実はこれ、あの三人組が縦に並んだもの。
・・・これくらい変装するって事は、指名手配とかになってるのかな。
もしかして、食い逃げとか・・・しないでしょうね。
そんな考えが頭をよぎる。
「今日行くのって中心街だよね？高台には行かないよね？」
「ああ。ていうか高台は貴族のみだろ。行きたくても行けねぇよ」
その答えにほっと胸をなでおろす。
貴族様が暮らす高台には、あまり足を運びたくない。
よかった。
でも、そんな考えもつかの間。
中心街に入った瞬間、容赦ない視線が私たちに突き刺さった。
そりゃ小奇麗な中心街に薄汚い二組が入ってきたら注目を浴びるのも分かるけど、そんな露骨じゃなくてもいいでしょ！！
一応ダダンさんのくれた服着たけど！
三人がマントを羽織っている間に昨日いただいた服を着たのだ。
きっと若い頃に来ていた物で、シンプルだけどしっかりとした生地の上等なもの。
「アタシは着る時期を逃したから、あんたにやるよ。いつまでもその服じゃ困るだろ」
昨日のダダンさんの顔が思い浮かぶ。
いつもの服だったらもっと浮いてたとこだった。
「そういえば、サボは小奇麗だよね。もしかして、おしゃれさんなの？」
そういった瞬間、マントが大幅に揺れた。
「ちょ、サボしっかり持てよ！！こけるところだっただろうが！！」
「わ、悪ぃ」
くぐもった声は、マントに隠されて見えなかった。
でも、動揺していることは確実。
・・・何か、隠してる？
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作者名：ら・ふらんす | 作成日時：2016年5月18日 12時
