初恋なんて実らない。 (ページ2)

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ゴア王国の近くにある、グレイ・ターミナル。

そこで、後の世に名を轟かす、あの三人に出会った。

・・・

「このクソガキ共がァ！！俺たちの金をどこにしたァ！！」

ごみ山の上で、大柄な男が叫ぶ。

周りには手下と思われる男が数人、三人の子供たちを囲っていた。

中心にいる子達はロープで縛られているにもかかわらず、震えずにただリーダー格の男を睨んでいる。

なんて肝の据わった子達なんだろう。

双眼鏡を目からはずし、ふぅ、と息を吐く。

ごみの腐った匂いが漂うグレイ・ターミナル。
そこで私は日々奉仕活動をしている。
といっても悪人を張り倒すとか、子共たちにご飯を作るとか、そんなしょぼいことしかできないけどね。

確かあの男はブルージャムたちの子分だ。
お金は・・・たぶんあいつらのものなんだろうな。

でも、相手は子供だし。
縄でぐるぐる巻きにして脅すなんて、ひどすぎる。

大男が持っていた金棒を子供達に向け、振り落とすその瞬間。

「ちょっと待ったぁあああ！！！！」

そう叫び、数メートルあるごみタワーから飛び降りる。

「ブールージャムの子分、今すぐその子供達を放しなっ！！さもないと・・・」

「さもないと、なんなんだ？」

「この私が成敗する！！」

びしっと指をさし、ポーズをとる。

しかし、相手を威嚇するどころか思いきり笑われてしまった。

「ハッ！このひょろっちい兄ちゃんに何できるんだ。武器ももたねぇでヒーロー気取りか？」

「じゃあ、ボコボコにされても文句言うなよ？」

そう言って足元にある棒切れを拾う。
ごみが多いということは、それだけ使える武器も多くなるということ。

「あいつ、木の枝で戦うつもりだぜ？」

と、失笑した右横の男が次の瞬間吹っ飛んだ。

「ちょ、今の何だ！」

「まったく見えなかったぞ！」

「あいつがやったのか！？」

静かな水面に広がる波紋のように、ざわめき立つ。

「・・・これでも、まだ戦うのか？」

挑発した言葉に、大男の眉間に青筋が浮かぶ。

「野郎共、やっちまえ！！！！」

大声とともに男共が詰め寄ってきた。