RAD 2 (ページ10)

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江南から空港までは少し距離がある。

時計を見れば14時でまだ余裕があったけど
はじめはスムーズに進んでいたが、クリスマスだからか渋滞に捕まる。

苛立つ俺。

車内はミンソクさんがいつも聞いているであろうジャズのCDだけが鳴り響く。

「あっ…」

「雪…」

窓をずっと、眺めていたAがポツリと呟いた。

チラチラと降り出す雪。

それを力なく見ているA。

ミラー越しに見るAの横顔は
何を考えているかわからない顔だった。

空港につく頃には15時半を過ぎていた。

急がないと

もしかしたらもうゲートをくぐってしまったかもしれない。

力ないAの手を握って走った。

走って走って、出国ゲートを探す。

沢山の人たちが楽しそうに旅行に行こうとしている。

やっぱりもう行っちゃったよな…

こんな沢山の中で会えるわけないか…

「……るぅ…？」

ki「え？」

俺と逆の方を見ていたAが囁いた。

その方向を向けば、ルハンさんとあの女が搭乗口に向かって歩いてきていた。

ki「ルハンさん！！！！」

「…ル…」

「…ルハン…？」

時間が止まる。

空港にはルハンさんとAしかいない

そんな空気が流れる。

lu「…バイバイA。」

lu「愛してる。」

ルハンさんは一瞬泣きそうな顔をしていた。

でも、すぐにいつものキラキラ眩しいほどの笑顔になった。

「愛してるー？どーゆーことぉ？誰あの子？なんでぇ？」

lu「ひ、み、つー。」

後ろを振り向かずにいつもの笑顔でルハンさんは、女と話しながら出国ゲートに吸い込まれて行った。

それを俺はAの背中越しで見ていた。

Aはどんな顔をしていたのだろう

しばらくの間、出国ゲートを見ていたAが振り返り、真剣な顔で俺に言った。

「にに。」

「ありがとう。」

「あたしをここに連れてきてくれてありがとう。」

12月24日。

ルハンさんは二度と帰ってこなくなった。