1 ページ1
『平田さん!』
……最初は、普通だけど、すごく楽しい生活だった。
呼びかけたら応えてくれる、ちゃんと話を聞いてくれる、話をしてくれる、名前で呼んでくれる……
そんな「当たり前」な事でも、嬉しかった。
………だけど。
平「………自閉症スペクトラム症………?」
ハル「そう。大人になってからも診断受けることが多いらしくてな。この子の場合はそれやろうな。」
平「……でも、今までそんな感じは……」
ハル「そうなんよな……とりあえず、様子見ながら考えるか。」
平「……分かりました………」
僕は診察室のドアを閉める。
………自閉症スペクトラム症。通称ASDと呼ばれるもの。
コミュニケーションや対人関係が困難になったり、そのせいで社会で孤立し二次的な症状を引き起こしたりもする。
……エスレイドさんが、そう診断を受けた。
正直、少し不安だった。
どうやって接していくのが正解なのかも分からないし、もしかしたらふとした事でエスレイドさんを傷つけてしまうかもしれない。
そんな不安を抱えながら、僕はエスレイドさんの元へと向かう。
平「……エスレイドさん……」
エス「平田さん!なんでそんな、暗い顔してるんですか?」
平「……大丈夫。何でもないよ………」
エス「そうですか。良かったです!」
そう言ってまた手元の手帳に視線を落とす。
平「………何書いてるの……?」
エス「これは〜その……内緒です!見ちゃ駄目です!」
平「……分かった……」
………僕が不安がってちゃ、駄目だよね。
一番辛いのは、一番苦しいのは、エスレイドさんなんだから。
……僕は、僕なりに出来ることを探してみよう。
平「……エスレイドさん、僕、頑張るね……」
エス「……?よく分からないですけど、頑張ってください!」
平「………ふふ。帰ろっか……」
エス「はい!」
こうして、僕らは帰路についた。
〜To be Next〜
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナア | 作成日時:2024年2月14日 22時