44.新たな戦場へ ページ7
*
みんながあわてて動き出す。その中で1人だけ動かない人がいた。
「おにーさん?」
「おにーさんじゃねェ。羽宮一虎だ。」
「え?」
「俺はここに残るよ。保護観察中に問題起こしたんだ。どう足掻いたって少年院に戻る。」
よく分からないけど、おにーさんが決めたならそれでいいか。そしてすこし歩いて、背中を向けるマイキーの前で止まった。「一生背負って生きていく」と心に誓ったような顔をして頭を下げた。
マイキーは何も返さなかったけど、きっと大丈夫。
「おねーちゃん。」
「うん?」
「やったね!」
となりで笑うハルを見ていっしょに笑う。2人でししっ!と笑ってハイタッチをした。空の色がかわってる。太陽は山の向こうへバイバイする代わりにもうすぐお月様が顔を出す。
「あ!!おねーちゃん大変ッ!!」
ハルの慌てた声に私もトーマンのみんなをビックリして振り返った。だけど、ハルが慌てた理由はすぐに分かった。
「急げ!ハルっ!!!」
「おうよ!」
走り出した先にいたのは三ツ谷。慌てた姉妹を見てつられて慌てた顔をする。一体何事だと言わんばかりの顔で「どうした!?」と目線を合わせる。
「三ツ谷隆くん!早くバイク出して!」
「だしてだして!!」
「お、落ち着けって。どうしたんだよ…」
「「もうタイムセール始まってるッ!!」」
姉妹の慌ててる理由がそんな事で思わず間抜けな声が出る。そんな三ツ谷を置いて姉妹はインパルスに走って行った。子供のくせにどれが誰のバイクか把握しているのだから子供ってすごい。
「おい、後ろに2人も乗せらんねェぞ?」
「マイキー!バブ出してバブ!!早くしないと田中さんに取られちゃう!!!」
姉に手を引かれるようにバブの元まで辿り着く。律儀に主の帰りを待っていたバブの後ろに当然のごとく乗り込んだAに思わず吹き出さずにはいられなかった。さっきまでの大人びた姉妹はどこにもいなくて、今はただ、小さな事に必死になってる子供だ。
「おう、急ぐぞ!」
いつの間にやらトーマンのみんなが常備するようになった子供用のヘルメットを被せ、バブーというエンジン音を響かせて発進させる。その後を追うように三ツ谷のエンジン音がした。
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あう(プロフ) - shiochanさん» ありがとうございます!拙すぎる文章ですが、これからもどうぞよろしくお願いします(土下座)私自身がハピエン厨、ハピエン大好きマンですので笑この先も楽しく読んでいただけるよう頑張ります! (2021年9月5日 21時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
shiochan(プロフ) - 面白さもあって楽しく読ませて頂いてます。ハッピーエンドと書いてあったので、嬉しいです(^^) 応援してます。頑張って下さい^_^ (2021年9月5日 20時) (レス) id: 51856805e1 (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - あーゆーさん» リクエストありがとうございました! (2021年8月22日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
あーゆー - ひんと→ほんと です。嬉しすぎて誤字になってしまいました…。すみません。 (2021年8月22日 19時) (レス) id: f98a04dc60 (このIDを非表示/違反報告)
あーゆー - ひんとですか!? めちゃくちゃに嬉しいです! 有難うございます! (2021年8月22日 17時) (レス) id: f98a04dc60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あう | 作成日時:2021年8月5日 13時