34.リープ前3 ページ34
*
「私が絶対的な信頼関係の人間を失えば、私はただ情報を売る優秀な情報屋になる。」
「それって……俺らの事は信じてくれてねェって事?」
「そうだね、贔屓はしてるけどね。千冬くんだって命令されれば私を消すっしょ?それと同じ。今こうして千冬くんに希咲の情報を売ってるけど、稀咲にも君のことを売ってる。」
カランと氷の音がした。俺たちはいつからこんな風になったのか。
稀咲は策略家だ。Aもそれに負けず劣らずの頭脳派。おまけに度胸も申し分無い。商売の為ならば例え旧友だろうと情報を売るし嘘もつく。
誰の敵でも味方でもない存在。人質に取られる様な存在もいないし裏社会で生きるには身軽だ。
信用も裏切りも無い彼女は情報屋として彼女の右に出る者はいないと言っても過言ではないし、ハッカーとしても天才と呼べる存在だ。
「便利でしょ?」
18歳にしては大人びた顔で笑う。その彼女に何とも言えなくなった。ただ、悲しい奴だなと思った。
「あ!」
「どうした?」
「私もう一つ仕事入ってんの。三ツ谷くんから。」
時計を見て慌てて荷物をまとめた。俺もこれ以上ここには用が無いから帰ろうとした。その時、Aに名前を呼ばれた。
「千冬くんにこれあげる。」
「何、この小さいの。クモ?」
「セアカゴケグモ型盗聴器。」
「これが?」
「そ、見えないでしょ?GPS機能付き。蜘蛛の糸を張り巡らすみたいに情報を集めてくれる。」
こんな物を作るくらいには暇らしい。見た目はアレだが有難く貰っておくことにした。どこかで役に立つかもしれない。それをポッケにしまったところで「それと」とAは付け加えた。
「千冬くん、くれぐれも稀咲には気を付けてね。彼、君を消したそうにしてたから。」
眉毛を下げて笑いながら忠告した。まるで「死なないでね」と言っているかのように。
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あう(プロフ) - 雪見大福さん» そうですね。心配してくれるって事はそれだけ自分の事を大切に思ってくれてるって事ですもんね。 (2021年8月3日 7時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 夢主ちゃん視点で自分の感情が動いてたので心配されるって…嬉しいですなって思いました (2021年8月2日 21時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - 紅さん» 更新を…ずっと待ってます…だと!?えー、嬉し(デレ)作品も気に入っていただけたようでありがたい限りです。頑張ります!頑張っちゃいますッ!! (2021年8月1日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - この作品が好きです。更新ずっとまっています。応援してます。がんばってください (2021年8月1日 22時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - kanraiさん» ありがとうございます!とても励みになります!! (2021年7月30日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あう | 作成日時:2021年7月27日 17時