ご近所さんの不良さん達【東京卍リベンジャーズ】

29．将来の夢 ページ29

*




｢おい、あいつマジかよ。｣

｢小一女子ってだいたい"お花屋さん"とか"ケーキ屋さん"とかじゃねーの？｣

｢海賊王ってあるぞ。ありったけの夢をかき集めようとしてんぞ。｣

｢脳内お花畑かよ。｣

｢いや、お花畑ってより少年脳っすね。｣




周りの子のものを見れば"パイロット"だの"お花屋さん"だのと一般的な回答をしているのに対し、Aのには"海賊王"と書かれている。しかも少し誇らしげに。

｢お前ら理由見た？｣という三ツ谷の一言に視線を少し下にずらし、なりたい理由を読む。




｢"ひとつなぎの大秘宝を見つけたら大金持ちになれる。人生遊んで暮らせる。"｣

｢そんな理由で海賊やろうとしてんの？グランドライン入ろうとしてんの？？ルフィもビックリだわ。｣

｢ロジャーもそんな理由で自分の宝を発見されるとは思ってもねぇだろうよ。｣

｢人生遊んで暮らせるって…働く気ねぇじゃん。小一にして無気力発揮してんなよ。｣

｢いや、グランドライン入ろうとしてんだから無気力ではなくねぇ？｣




確かに。



一同の声が一つにハモる。



そこで授業開始を知らせるチャイムがなった。｢ワンピースってどこにあんだろうな｣と言うパーちんの言葉はスルーさせていただいた。

廊下の将来の夢コーナーからずれて、廊下から中を伺う。Aの苗字は慈だから最初の方だ。Aは東卍御一行様に気付いていないらしく、呑気にも欠伸を零していた。



教室ではお屋の啜り泣く声が聞こえる。我が子の作文に感動したのだろう。





｢あんなヘッタクソな文章のどこに泣く要素があんだよ。｣

｢黙れバカ場地。あの子も留年してるお前には言われたかねェだろうよ。｣

｢あ？舐めんな。俺だってまともな文章くらい書けるわ。｣

｢現文のテスト赤点回避してから言え。｣

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