検索窓
今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:386,225 hit

24.孤独な奴 ページ24

*




孤独な奴だと思った。小学校低学年くらいのガキが父親も母親もいなくて生きているんだと思ったら。"親の愛情"とやらを知らずに生きているのだと思ったら。


似てんな。


何となく、そう思った。そうして思い出すのは振り上げられた拳と、それに怯える母親の姿。舞台も設定も違えど俺とこのガキの心情は同じだろう。

"オマエはお父さんの味方?それともお母さんの味方?"



弱い母親がよく俺に聞いたこと。俺は母親が満足する答えを言う。その逆を言えば………


親は身勝手だと思う。




「おにーさんはお父さんとお母さんの事キライなの?」




穢れを知らぬ幼い少女のつぶらな瞳を向けながら問うてきた。その質問に深い意味なんて含まれちゃいない。純粋に気になったもんなんだとこいつの目を見たら分かった。




「そうだな……」




この感情は嫌いなのかどうなのか、どうにも名前を付けにくい。"好きでも嫌いでもない"1番近い答えはきっとこれ。




「おにーさん。」

「何だよ…」

「寂しいの?」




ドクンと心臓の音が大きくなったのは気のせいだろうか?"寂しい"か。どうなのか自分の事なのによく分からない。

ただ、普通の家族を見て純粋にいいなと思った事が無いのは確かだ。恨めしいような、そんな感情を抱いていたが、あれはもしかしたら寂しかったのかもしれないな、なんて。




「どうだろうな。」




あぁ、でも、昔から俺はきっと……



「おにーさんの味方になってくれる人、ちゃんといると思うよ。」



赤いランドセルを背負ったガキが大人びて見えた。本当に小学生なのか疑いたくなった。それもこれも、こいつの生まれ育った環境が影響しているのかもしれない。

そして、俺が昔から欲していたのも多分、この小学生が言ったものなんだろう。

25.帰ろう。→←23.おにーさんふたたび



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (302 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
840人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あう(プロフ) - 雪見大福さん» そうですね。心配してくれるって事はそれだけ自分の事を大切に思ってくれてるって事ですもんね。 (2021年8月3日 7時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 夢主ちゃん視点で自分の感情が動いてたので心配されるって…嬉しいですなって思いました (2021年8月2日 21時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - 紅さん» 更新を…ずっと待ってます…だと!?えー、嬉し(デレ)作品も気に入っていただけたようでありがたい限りです。頑張ります!頑張っちゃいますッ!! (2021年8月1日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
- この作品が好きです。更新ずっとまっています。応援してます。がんばってください (2021年8月1日 22時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - kanraiさん» ありがとうございます!とても励みになります!! (2021年7月30日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あう | 作成日時:2021年7月27日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。