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22.逃げろ ページ22

*




Aはバツが悪そうに、どうしてこのタイミングでこの人物と会ってしまったんだと言わんばかりの表情で三ツ谷から目を背けて「サボった」とボソリと呟いた。

「知り合い?」と聞くペーやんに「まぁな」と軽く答えて溜息をついた。最近の彼は溜め息が多い。別に不幸が続いてる訳では無い。厄介事が多いのだ。彼が所謂"苦労人"とやらだろう。



「お前なぁ……サボったって、どうしたんだよ?」



その場にしゃがみ、俯いたAの顔を下から覗くように問い掛ける。「何だっていいじゃん。」そう返したAの声には小さいながらの苛立ちが含まれていた。

そして三ツ谷の横を通り過ぎて行ってしまった。



「あいつ…何怒ってんだ?」

「さぁな。学校で何かあったんじゃねーの?」

「俺ァバカだから分かんねェ。」




「A!」と振り返れば一瞬だけ止まった小さな身体も次には三ツ谷達から逃げるように走って行ってしまった。「おい!」と止めるよりも先にAが角を曲がり視界から消えた方が早かった。


慌てて追っかけた三ツ谷だったが、どうやら彼女は足が早いらしく新たに角を曲がったのか姿は無かった。三ツ谷の後を追って来た2人に「A探すの手伝え!」と言われて3人はバラバラに散って少女を探す。


そう遠くへは行っていないだろう、そう思っていた3人だが、これがまた見つからない。3人は甘く見ていた事だろう。たかだか少女1人だと。

対してこちらは体力にも自信のある中坊3人。すぐに捕まえられると甘く見ていた。小学生がその気になって逃げれば例え東京最大と謳われる東京卍會の隊長、副隊長も手に負えなくなるのだ。

否、これは相手がAだからなのかもしれない。



侮ることなかれ、とはこの事だ。



街中を走り回ってる3人を見かけては東卍のメンバーが不思議に思うのは当然で、そう思ったら声をかけるのも当然。事情を聞いてAを一緒に探す、という行動に出るのも当然な訳で。


自分の取った、特に深くも考えていない行動がここまで事を大きくするとはAも夢にも思わなかっただろう。




とある中学では「あのマイキーくんも血相変えて1人の女の子探す為にバイク乗り回してたらしいぜ!」と某不良辞典が仲間に話してたのは明日の話。

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あう(プロフ) - 雪見大福さん» そうですね。心配してくれるって事はそれだけ自分の事を大切に思ってくれてるって事ですもんね。 (2021年8月3日 7時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 夢主ちゃん視点で自分の感情が動いてたので心配されるって…嬉しいですなって思いました (2021年8月2日 21時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - 紅さん» 更新を…ずっと待ってます…だと!?えー、嬉し(デレ)作品も気に入っていただけたようでありがたい限りです。頑張ります!頑張っちゃいますッ!! (2021年8月1日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
- この作品が好きです。更新ずっとまっています。応援してます。がんばってください (2021年8月1日 22時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - kanraiさん» ありがとうございます!とても励みになります!! (2021年7月30日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あう | 作成日時:2021年7月27日 17時

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