2．日曜の戦場 ページ2
*
日曜の朝8時。
こんな朝早くからスーパーの前には人集りができていた。それもそのはず、今日は特売の日なのだ。
毎度毎度、戦場にでも赴くかのような主婦達の表情に顔を引き攣らせる。
今回も相変わらずだな、と集団の後ろの方で苦笑いを浮かべていれば隣でトントンと軽い音が2つ分。
そこにはこの前会ったばかりの姉妹が他と同様、戦場に赴く武士の如く険しい顔をしていた。軽く準備運動をしてるらしい2人に思わず吹き出す。
それが聞こえたのか姉の方が俺を見ては｢あ｣と声を漏らした。
｢よぉ、お前らもすげぇ気合い入れてんな。｣
｢これは戦いだから。｣
｢おねーちゃん！いつもの作戦でいく？｣
｢うん。｣
作戦まであんのか、と口を開きかけた時、店のドアが開き、主婦方は我先にと店へ入って行く。
いつもこの特売の日に来てはいるが、この血走った目を持つ主婦方にだいたい取られているのがお決まりである。
そして視線を再び右下へと移せば、先程までいた姉妹の姿はどこにもなかった。
いつの間に、なんて思いながら俺も集団の中へと入って行く。あっちこっちで人が行き来し、もみくちゃになるこの中で小さな体の姉妹2人は無事なのだろうかと小さな心配を胸に抱く。
我の強いおば様方に踏み潰されていそうだな、と縁起でもない事を思ってしまった。
｢おねーちゃん！！！｣
そんな俺のすぐ横で聞き覚えのある幼い声で姉を呼ぶのは例の姉妹の妹だ。いつの間にやらカートとカゴをゲットしている姉妹が恐ろしい。
おまけにその中にはこの短時間で手に入れたであろう戦利品達が誇らしげに入っていた。
｢すげぇな、お前ら……｣
賞賛の声を独りごちていれば俺の顔の前を勢いよく何かが横切る。
あろう事かそれを見事キャッチした妹。飛んで来た方に目を向けるも体の大きな大人達のせいで姉の姿は見つからなかった。
そんな大人達をものともせずに欲しいものを手に入れ、離れた妹の所までバスケット選手もド肝を抜くようなパスを決める姉が恐ろしい。
将来は有望なバスケット選手になりそうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 840人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あう(プロフ) - 雪見大福さん» そうですね。心配してくれるって事はそれだけ自分の事を大切に思ってくれてるって事ですもんね。 (2021年8月3日 7時) (
レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 夢主ちゃん視点で自分の感情が動いてたので心配されるって…嬉しいですなって思いました (2021年8月2日 21時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - 紅さん» 更新を…ずっと待ってます…だと！？えー、嬉し(デレ)作品も気に入っていただけたようでありがたい限りです。頑張ります！頑張っちゃいますッ！！ (2021年8月1日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - この作品が好きです。更新ずっとまっています。応援してます。がんばってください (2021年8月1日 22時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
あう(プロフ) - kanraiさん» ありがとうございます！とても励みになります！！ (2021年7月30日 22時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あう | 作成日時：2021年7月27日 17時
