宴 ページ3
そんなある日、突然イーガ団がハテノ峠を襲った。私はその場でよく辛い修行を行っていた。1人剣を握って、イーガ団に対抗しようとする私を見て、コーガ様はこう言った。
「お前、ハイラル王国が憎いんだろ」
と。
思わず呆気にとられた。なんでそんな事がわかったのか。なんで私に声を掛けたのか。
しかし私は得体の知れない団体に頷いてしまった。するとコーガ様はニヤリと笑って、
「お前の事情は全部知ってる。来い」
と私に手を差し伸べた。意味が分からなかった。だが、私に身寄りも無いただの子供だったし、何か企んでいてハイラル王国を憎んでいることはだけは分かった。
そうして私はコーガ様の手を力強く握ったのだった。
そんなイーガ団に入る経路を思い出しながら、コーガ様の命令に耳を傾ける。
「城や王の動きを調べ、英傑からの信頼を得て……そして最後にやるのだ」
「ゼルダ姫の暗殺を」腰にある小刀を握りしめてふぅと一息。
「はい」
しっかりと返事をした私を見てコーガ様は、
「よし! ならば今宵は宴だ!」
一気に愉快な表情に変わり、この為に馳走を用意したと伝えられた。
「さあさあ、今日はAの活躍に期待して若い衆も集めたのだ!」
すると部下達が大勢コーガ様の部屋へ入ってきた。
嬉しいと思う半分、心配にもなった。こんな盛大な宴を開いてもらい、期待もされているのが私にとっては期待を裏切らないか不安だったのだ。ハイラル王に怪しまれてしまうのも、結局は時間の問題だ。
「何暗い顔をしておる! もっと笑えば良いのだ!」
仮面からその表情は読み取れないが、微かに笑っているように見えた。
「そうですよ、せめて今日は盛り上がりましょう!」
部下の1人も声を上げる。
そこから次々と声が上がった。
自分がこの飲み会の主役である事、そして祝ってくれている事が、とても嬉しかった。
私は、絶対にこの機体を裏切ることは出来ない。必ずや、ハイラルを滅ぼしてみせる。そう決意すると、小刀をまた握りしめた。
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作者名:rikorisu | 作成日時:2020年3月25日 16時