私がイーガ団に入ったわけ ページ2
明日からの任務とは、私がゼルダ姫護衛兵のフリをし、潜入捜査官としてハイラル城へ侵入する事だ。
姫の護衛兵など簡単には出来ないのだが、それには少し昔の諸事情がある。私が9歳までハテノ村で住んでいた時、鍛冶屋を営んでいた父がハイラル王の古くからの親友だったため、すぐに信頼を得る事が出来たのだ。腕の立つ鍛冶屋である父はよく王家の剣をも錬金していたし、ハイラル王にとっても信頼出来る人物だったのであろう。私もよくお城に忍び込んでは、侍女達と遊んでいたのをよく覚えている。
そんな私が何故、ハイラル王を裏切ってイーガ団に入ったのか……
父が深き森に隠されているマスターソードという剣に興味を持ち始め、ハイラル兵に暗殺されてしまったからだ。それも、魔物に襲われたという名目で。マスターソードは本来、立派な剣術の持ち主である護衛兵でしか扱うことを許されていない物なのだ。故に父は知りすぎた。マスターソードを深く調べすぎて、焦ったハイラル王に殺されてしまったのだ。殺す必要があったということは、きっと知られてはいけない秘密が、マスターソードにはあるのだろう。記録も抹消されてしまい、今となってはハイラル王以外、誰もマスターソードの真実を知るものはいない。
だが私はそんなマスターソードの秘密なんて興味が無かった。ただ親友同士だった父を裏切ったハイラル王が、ハイラル王国が憎い。それでも尚ハイラル王は、私が父は魔物に殺されたと思いきっていて、真実を知らないとでも勘違いしているのであろう。私のことをまだ幼き子供だと思っている。違う、私は知っているんだ。ハイラル王が父を殺したということを……
尚真実を隠しているハイラル王に、裏切ったハイラル王国に怒りが込み上げた私は、ガノンという厄災を復活させることだけに専念するイーガ団に加入した。ガノンという厄災がどんなものかは知らない。だが、ハイラル王国を滅ぼせるのなら……私はなんでも良かった。当時9歳にして仇討ちの心が芽生えていた。
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作者名：rikorisu | 作成日時：2020年3月25日 16時
