イーガ団の幹部 (ページ10)

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ゼルダページ10

その目から逃れるように、ちらりと重そうな本に目線をやると、
｢姫、私が本をお持ち致します。どこまでですか？｣
と本に手を伸ばす。姫は一瞬戸惑ったが、ありがとうございますと返事をして私に本を渡した。
どれもレシピの本だった。おもわず姫は料理が好きなのですか？と尋ねると、
｢えぇ、侍女達がよく作ってくれるフルーツケーキを、私も作ってみたくて｣
と話し始めた。そのケーキには話を聞くところによると、どうも聞き覚えがある。
｢……あ、もしかして、私が控え室で頂いたものは｣
パッと口に手を当てると、姫がええと肯定した。
｢……やっぱりそうだったのですか！あれ程美味な甘味を食べたのは私、生涯で初めてでございます！｣
今でも思い出せる、あのみずみずしいフルーツの味。本当に美味しかったです。と思い出に浸るように付け加えると、姫が少し微笑んだ。
｢姫もお好きなのですよね、あれを作れたら、本当に毎日食べちゃいそうです｣
｢あなたは料理が出来るのですか？｣
｢いいえ……それが全然。お恥ずかしい事に料理が全く上達しないのです｣
後ろ髪をくしゃっと撫で付け、視線を逸らすと、姫は興味津々というように私の目を見てきた。
｢まぁ、貴方にも出来ないことはあるのですね……！｣
｢え？……あ、あぁ、そりゃあもちろんですとも！｣
なんでそこに食い付いたんだろう。疑問に思いながらも、私達は料理について話をふくらませた。
ゼルダ姫は、きっと自分の才に不満がある。遺物の研究にこだわっている、と話す現実逃避をしているとも言える彼女を見て、私はそう思った。
姫がガーディアンを見てきます。と言って去った後、私は再び図書館に足を進めたのだった。