【薄桜鬼】ブラコンの妹ちゃんが恋をするのは、誰でしょう？ (ページ31)

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29話　　　斎藤side ページ31

山南さんの手術は、いつ終わるのだろう…？
かれこれ、一刻が過ぎようとしている。

無事なのだろうか。
Aは？失敗したら命を捨てると、副長と契約していたのを聞いてしまった。

なんて、向こう見ずなやつなのだろう。
あいつに死なれては、目覚めが悪い。

何もできない自分を嫌になりながら、ただ祈っていた。

一秒が、遅く、辛い。

早く終わってくれ…！

沖田(…一君が、感情を表に出すなんて。山南さんの手術…？
　ううん、Aちゃんのことだよね。)

俺の気持ちにこたえるかのように、声が聞こえた。

貴「これで手術を終わります。ありがとうございました。
　山南さんの容体に変化があれば、些細なことでもよいのですぐに知らせてください。」

雪村と、山崎の、ありがとうという声が襖越しに聞こえる。

終わったのか…。良かった。
Aに礼を言わねば。

ゆっくりと安堵の息を吐いた。

手術にかかった時間は、一刻と、八半刻。
とても長かった。

貴「手術は、今のところ成功です。
　何があるかわからないので、今日は、部屋に入らないでくださいね。」

襖を開いたAのかっぽう着は、返り血に染まっていた。

斎藤「A、ありがとう。命を賭けてまで、山南総長の腕を直してくれて感謝する。」

沖田「…いのち、賭けたの…？」

Aは、苦笑して、
そんなことどうでもいい、といった表情をした。

貴「…斎藤さん。ねむい。ひざかして？」

何を言い出すかと思えば爆弾を投下していった。

…しかも、心なしか瞳は潤み、ほほを紅潮させている。
その状態で、上目遣いときた。

俺の理性は持つのだろうか…。

希望どうり、膝枕をしてやるとすぐに眠った。

後で、聞いたことだが、手術中に麻酔の引き延ばしのために酒を煽ったらしい。
口移しで…。

それは許せないが、Aのかわいらしい姿を見れたことで許してやる///。

一刻と八半刻…約二時間十五分。