【d.!】Let it dry!【合作短編集】 (ページ4)

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『熱くない？』
「だ、大丈夫...」
『おっけー』

タオルで余計な水分を取りながら、温風をかけていく。彼の髪質も相まってか、何となくトリマーな気分だ。
それに、頭を撫で付ける形にもなっているからか、チーノ君は少しウトウトとしている。

…可愛い。

暫く乾かしていれば、いつも通りのくるくるふわふわの髪が蘇った。
ドライヤーを止めて、両手でもふもふと髪を弄る。ちゃんと乾かしたお陰で、それにサラサラの要素も加わってとても良い。

『チーノ君、終わったよ』
「んん.........ハッ！...あかん、寝てた...」
『ふふっ、分かる分かる。人に頭なんかしてもらってると、眠くなるよね』
「うん。A、乾かすの上手いね」
『妹いるからさ、お母さんの代わりによくやってたんだ』

返答しつつ、もふもふと髪を触らせてもらっていると、その手を掴まれ私は彼の膝に座らせられた。
そして、ぷくーっと頬を膨らませた彼に見下ろされる。

「さっきも言ったけど、犬ちゃいますよ〜？」
『ごめんごめん、触り心地が良くて』
「俺彼氏やから！Aの、彼氏！ペットじゃないもん！」

拗ねた様にギュッと抱き締めてくる彼は、大きいのにとても甘えん坊だ。
それでも、頭を撫でて上げれば満更でもなさそうな表情を浮かべてしまうチョロさもある。

そんな彼が、とても愛おしい。

『機嫌直してよ。今度何か奢るからさ』
「マジか、じゃあ高級焼肉で！」
『調子に乗るなよ、この目玉焼き』
「ﾅﾝﾃﾞﾔｯ！」

嘘泣きをする彼に、私は熱めのドライヤーを当ててやろうかと少し考えてしまった。