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「みなさん、新しく来たAです。仲良くしてあげて下さい。」
「…松陽さん…自分、勉強とかいらないんだけど。」
松陽に向かってそう言った奴は綺麗な赤い髪を雑に束ねていて、顔立ちは女っぽいけど服は男物を着ていたから男か女か分からなかった。
「A、ここで学ぶことは勉学だけではありませんよ。貴方は人との関わり方を学びましょう、私も手伝います。」
そう言われ渋々後ろの方の席に座った、えーと
名前はなんつったっけ、A…?
そいつは部屋の中をぐるっと見回してため息を吐くと頬杖をついて暇そうに松陽を眺めていた。
「おい、お前松陽の話聞いてなかっただろ。」
「…全部知ってたし。」
「最初のため息なんだよ、うぜぇ。」
「変な奴が多いところで大変そうだったから。」
「あ"!?」
すると途端に頭に鋭い衝撃。
それからボスン、と音がしたかと思うと俺の
頭には大きなコブが出来ていた。
「痛ってぇー!!!」
「銀時、女の子を怖がらせるようなことは言ってはいけません。」
「松陽さん、自分女の子って歳じゃない…。」
女の子って歳じゃないって、なんだ?
大人扱いしてくれってことか?
見た目は俺らと同じくらいだしまだ子供だろ。
そんな風に考えていた。
「てか、銀時って言うんだね。」
急に俺の方を向いて言ってきたので
正直驚いた。俺の事なんか見えてねぇんじゃねぇかって思ってたから。
「…あぁ。」
答えると少しの間考え込むように手をアゴに添えている。
そして顔を上げたかと思うと
「じゃあ…よし、銀!」
この謎発言だ。このシーンだけでコイツのキャラが大体掴める。
「はぁ?」
「あだ名!銀時の!これから銀って呼ぶからねーっ。」
じゃあダルいしまた明日、銀! と勝手に言い残しAは部屋から出た。
松陽に帰ったのか、と聞くとアイツはここに住んでるらしい。
…銀、か。
「響は結構いいんじゃねぇの。」
微笑むとそれを見ていた松陽に生暖かい眼差しで見られた。クソ。
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作者名:琴爪 凛 | 作成日時:2018年4月9日 1時