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宣告 ページ8
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しばらく談笑した後、すっかり機嫌の良くなったやまが口を開いた。
「…で、この前の検査、どうだったんですか？いつ退院できますかね？」
それまで和やかな雰囲気だったのに一気に静まる病室。
違和感を感じたのか、やまの顔に戸惑いの表情が浮かび上がった。
「え、俺、どっか悪かったりとか…？」
やまの顔色がだんだんと曇っていく。
あぁ…こんなこと、本当は言いたくない。
だけど、薮くんともメンバーとも約束した、真実を伝えることが何よりやまのためでもあると信じてその後は医者に説明を任せた。
何も知らないやまにとって、それはあまりに残酷なものだった。
この世からあらゆる音が消えたのではないかと思うほどに静かな空間に時計の秒針だけがチクタクと音を鳴らしていた。
「俺は…あと、どれくらい生きられるんですか…？」
やまが蚊の泣くような声で医者に尋ねる。
「…一ヶ月程度だと思われます」
余命宣告。
ドラマでしか見たことない光景。
やまは泣くことも取り乱すこともなく出てって、とだけ呟いた。
ぞろぞろと病室を出る俺たちにとって
今、やまにしてあげられることは何もなかった。
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作者名：ふう | 作成日時：2021年2月5日 13時
