信頼 ページ7
光くんも続けて話す。
「…お見舞いに行ったときに山田、言ってたんだ。
“早くまた皆と仕事したいし、ゲームだってやりたいし、それに知念は俺がいないとだめだからなぁ”って…。
山田、自分のことより俺たちのことばっか気にしてて…。
あいつは俺たちのこと、信じてくれているんだ…
俺たちが山田を信じなくてどうするんだよ…っ。
俺は…本当のこと、伝えるべきだと思う」
知念は光くんの言葉を聞いて涙を流した。
「僕も…涼介のこと、信じたい…」
知念の言葉が静まった部屋によく響く。
「裕翔はどう思う？」
隣にいた大ちゃんに声を掛けられると他のメンバーも一斉に俺を見た。
「俺は…俺だってやまを信じたい気持ちはあるよ…
だけど、もし、本当のこと知ったらやまが今よりもっと苦しむと思うと…」
これまで誰にも言えなかった本音を吐く。
すると薮くんが裕翔、と声を掛けた。
「裕翔の気持ちはよく分かる。俺だって最初はそう思ったし…
それに…裕翔、お前山田のこと好きなんだろ」
「…っえ、」
驚きのあまり心臓が飛び跳ねて変な声が出てしまった。
「俺たちみんな、知ってるよ。黙っててごめんな。
けど俺ら、みんな裕翔の味方だから…。
これから一緒に山田に会いに行ってしっかり話そう、な？」
薮くんが優しく微笑んでくれて少しだけ心が軽くなる。
そうだ…俺、一人じゃなかったんだった。
会議を終えて全員で病院に向かう。
病室に入ると既に医師とやまがいた。
「おっ、裕翔！久しぶりじゃん！来てくれたんだ！」
俺の顔を見るなり嬉しそうにはしゃぐやま。
とにかく、元気そうでよかった…
「ごめんね、なかなか顔出せなくて」
「いいのいいの、全然寂しくなんかなかったし〜…！」
「え〜あんなに寂しそうにしてたのはどこの誰だっけ？」
知念が茶化すように言うと顔を真っ赤にさせてやめろって！と言うやま。
こんな無邪気に笑うやまをもう見られなくなるのかもって思ったら胸が苦しくなった。
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作者名：ふう | 作成日時：2021年2月5日 13時
