【wrwrd】JKでサラリーマンな父さん…と私【os】 (ページ14)

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12、父性ページ14

osmn side

空の旅が始まって20分。
隣からはすぅ、すぅ、と規則的な寝息が聞こえる。
相当疲れていたのだろうか、という心配と少しは安心してくれているのかな、という誰に向けているのかもわからない優越感。

しかし我に帰ってみると、勢いでここまで来てしまったけれど中々に危険なことをしている。
一歩間違えれば誘拐犯、最悪会社にバレてクビに。
…なんで俺、勢いで行けたんやろ。

『父さんと会って、初めて見たとことかは、面白くて、楽しくて、好きだった』

ふと頭に浮かぶのは、そう言って下手くそに微笑んだAの顔。
すぐ人に心を許してしまったことは心配だけど、やっぱり安心してくれるのは嬉しい。

あのとき俺がこの子を見つけなかったら？
もしもこの子がもっと早く死んでしまっていたら？
考えるだけで身震いがする。
もしかしたら俺の行動は、本能的なものであったのかもしれない。

「…お父さん、か」

Aにとっての俺がそうなんだとしたら、この本能は父性と呼ばれるものなのか。
普段JKだのなんだと言ってる自分に父性？と疑問には思うが、たしかにそれは父親の感情のそれだったのだ。

…じゃあ、勢いも全部。そのせいにしてしまおう。

雑に見切りをつけては、隣をちらりと見やる。
幼い寝顔は、どこか人形の様で。

起こさない様に軽く撫でてやっては、小さな寝息につられるように意識を放った。