狼になった重岡先生

#48 ページ48

目の前のAちゃんを抱きしめようとしたけど、あと数センチの所でその手を止めた。




A「先生...？」




重岡「今すっごく幸せやけど、その分どこかに罪悪感があって、何か苦しいねん...」




A「...私も...」




重岡「俺らが付き合ったら、この先もっと苦しいことばっかりで、辛い思いもすると思うねん。それでも俺と居ってくれる...？」




A「はい...誰にも自慢出来なくてもいい。何処にもデートに行けなくていい。お互いを好きなことすら周りに許されなくてもいい。それでも、私は先生と一緒に居たいです。...先生のことが好きだから。」




重岡「A...」




俺は気づいたらAなんて呼んで、その華奢な体をギュッと抱きしめていた。




A「先生...」




重岡「大毅でええ。」




A「え...？」




重岡「二人きりの時は大毅でええから。先生なんて言われたら何か急に罪悪感が襲ってくる。」




A「あ、ごめんなさい...」




重岡「それに、二人きりの時は敬語じゃなくてええからな？恋人なんやから。」




A「...うん、わかった。」




しばらく抱き合っていた2人。





ふと冷静になって思う。




重岡「なんかさ...ほんま、イケナイことしてる気分やない...？笑」




A「うん...だって、イケナイことしてるんだもん。」




重岡「そうやな...笑」




A「でも、もういいよ。もうそこは開き直る！そうじゃないと何したって罪悪感しか残らないんだもん...」




重岡「そうやな...俺らは普通のカップルや。」




そう、何度も自分に言い聞かせた。

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