夕焼け ページ1
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「･･･今日は早めに上がれたな」
いつもの帰り道を一人呟きながら歩く。
見慣れた景色
変わり映えしない街並み
何も変わらないのに"見え方"は変わっちまった
包むようなオレンジの夕焼けだけは
あの日と同じ色をしている
全てを侵食して奪ってしまうような_______.
無心で歩けば自宅はもうすぐそこで。
いつもなら気づかないような道を目にした。
「･･･行ってみっか」
なんとなく、なんとなく行きたくなった。
薄暗い路地。静まり返った道は音一つない。
日陰で冷やされた空気が体温を奪う。
こんな所来たって、あいつの真似みたいに好奇心だしてみたって、何の意味もないのに。
____にゃぁ
「･･･？」
____にゃぁ
猫の声？ 暗くてよく見えない。
「･･･にゃぁ、にゃぁ」
「･･･何処にいるんだ」
と、片隅に置かれたダンボールを見つけた。
よくあるパターンだと思い迷うことなく向かう。
「･･･やっぱりな」
「･･･にゃぁ、にゃぁ！」
「ふっ、なんだ。人懐っこいのかおまえ」
ダンボールの前でしゃがめば、猫がこちらにちょいちょいと手を伸ばしていた。小さな子猫で見た感じ白っぽいが汚れている。まんまるのオリーブ色の瞳が俺を映していた。
「･･･捨てられたのか？」
「･･･にゃぁ」
よく見れば手に赤く滲んだ跡がある。
前の飼い主にやられたのか･･･
「･･･動物には特別興味はなかったんだが、
･･･なぁ、俺のとこに来るか？」
「にゃぁ！にゃあ！」
まるで言葉が分かるかのように俺の問いかけに対して鳴いてくれる。驚いたが、どうしてかこの子猫をこのまま見捨ててはおけなかった。
(･･･とりあえず買い物行かねぇとな)
ダンボールから子猫を取り出して腕の中で抱いた。
居心地が良さそうに擦り寄ってくる子猫を見て、自然と顔が綻ぶのだった。
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「おいっ、待て！まだ拭いてねえ！」
汚れていた子猫を洗っていたのだが、拭き終わる前に脱走してしまった。このままでは床がビショビショだ。瀬呂のテープのような個性は生憎持ってはいない。
自力で捕まえるしかない･･･。
遊んでいると勘違いしたように逃げ回る子猫を、なんとか捕獲できたのは30分後のお話。
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莉緒(プロフ) - ボロボロ泣きながら読みました…！切なくて綺麗な世界観でとても引き込まれました。ありがとうございました！ (2月6日 15時) (
レス) @page31 id: ff1884054a (このIDを非表示/違反報告)
Ray.(プロフ) - 雨色の水滴さん» コメントありがとうございます！アカウント変更で通知が来ず返信が遅れてすみません…！ そう言っていただける作品作ることができてよかったです。本当にありがとうございました！ (2021年8月4日 16時) (レス) id: 6a8a3c2907 (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 涙がボロボロ溢れてきます!!素敵な作品をありがとうございます!! (2021年6月19日 9時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
Ray.(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！！そのお言葉で、作って良かったなと思えます(泣) ご愛読いただけて本当に感謝です！ありがとうございました！ (2020年8月3日 6時) (レス) id: a96d419ae2 (このIDを非表示/違反報告)
みー - とても感動しまし!! 何回読んでも涙が止まりません。 この物語は私にとってとても大切な物語ですありがとうございまし!!! (2020年8月3日 4時) (レス) id: 308ccef0fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ray. x他1人 | 作成日時：2020年3月30日 18時
