好きなんて、言えないよ。

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「わあ、何か結構混んでるね」







Aが服を見たいって言うから

人気の服屋さんに行くことにした






華の金曜日ってこともあって、

女子高生やカップルで溢れかえっていた






俺らも、もしかしたらカップルに見えてるのかな

なんて、思ったり









「わ、ごめんなさい」







Aが男の人とぶつかっちゃって

ちょっと俺の方にふらついた







そら「大丈夫？」








「うん、ごめんね」









俺は、大丈夫だよって言って

Aの手をさり気なく繋いで俺の制服のポケットに入れた







Aは驚いた顔をしたけど

直ぐに顔を赤くした







そら「A危なっかしいから繋いどくわ」






と言うと、うるさいなあって怒った

けど、ちょっと心做しか嬉しそうだった









小さい頃公園で遊んだ帰り道

よく手を繋いで帰ったけれど





久しぶりに繋ぐAの手は

昔から変わらない温かくて小さくて落ち着く






俺がきゅって握る力を強めると

Aも小さな力で握り返してくれた








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「あっ、この服可愛い」







と、Aがピンク色のワンピースに

手をつけたら、丁度違う人の手も伸びてきた







「あっ」と、Aが声を出して

振り返ると、髪の長い綺麗な女の人の手だった







その瞬間、Aの顔が一気に曇った








「あれ？この前のエイジの…？？」







「こ、こんにちはっ…！ご無沙汰です、

すいません、じゃあ…」









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エイジ「おい、美香、勝手にどっか行くなって」









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その女の人の後ろから、エイジがでてきた

その瞬間わかった、こいつが彼女かっ、って。









エイジはAに気づくと、ちょっと

戸惑った顔をしたけど、俺は離れたAの手を

もう一度握って、









そら「すいません、失礼します」









と、軽くエイジを睨んで

その場から離れた









Aが少し悲しそうな顔をするから

それにむかついて、嫉妬と悔しさで

いっぱいいっぱいになって、握ってる手をもっと強くした、









なんで、いつもこうなっちゃうんだろう









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