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「あ"っ…！！あがっ！？」
何が起こったのか理解できない。男の表情からそう読み取れた。
「あら、分かりませんでした？肋骨折って、顎の骨を砕いたんですよ。脾臓も傷ついてると思うので、放っておくと死にます」
左腕から呪具を引き抜く。ビチャッと辺りに血が舞うが、気にかけることなく着物の袖を破いて応急処置をした。念のため、呪具の刃もへし折っておく。
「また逃げられても面倒なので。うるさいので叫ばないでくださいね。あぁ、その顎では満足に叫ぶことも難しそうですね。これは失礼」
痛みに悶える呪詛師に追い討ちをかけるように、両肩を脱臼させ、足の骨を踏みつけて折った。声にならない苦痛な叫び声が、トンネル内に反響する。痛みのあまり、男は気絶したようだ。
「…私の声が聞こえますか」
少年の元へ駆け寄り、声をかけた。息が浅く、血の気も引いている。
今すぐ助けたいのは山々だが、私は反転術式を使うことができない。補助監督に連絡をして、早急に治療に向かえるよう手配してもらう。
「今助けを呼びました。入り口まで運びます。揺れますが、あと少しの辛抱です」
領域展開直後、肉体に刻まれた術式は一時的に焼き切れて使用困難となるため、呪詛師と戦った時には式神を出すことが難しかった。
しかし、今はもう大丈夫そうだ。呪力も残り少ないが、なんとか鵺を召喚してその背中に少年を乗せた。
「頼んだよ」
鵺の頭を撫でて、行け、と合図を出した。飛び立つ寸前に、"助けてくれてありがとう"と掠れた声が聞こえた。
「どういたしまして」
トンネルを抜けていく鵺を見送った後、直哉兄様とはぐれた場所まで走った。あの呪詛師はもう歩けないので放っておいても大丈夫だ。
いやそれより、雑魚の集まりといえどもあの数の呪霊を相手にしては直哉兄様といえども疲弊しているだろう。一刻も早く合流して、少しでも助けにならなくては。２人の行方不明者の確保も必要だ。
重たい足を動かして走り続け、トンネルの分岐点まで戻ってくると、大量に湧いていた呪霊の群は見る影もなく消えていた。
異様な臭いが鼻先を掠める。奥の方から直哉兄様の呪力を感じた。かすかに音も聞こえるため、まだ交戦中なのだろう。
「直哉兄様…今向かいます」
あまり動かなくなった左腕を庇うようにして、呪力を感じる方へと歩み寄った。
目の前に広がる景色に、思わず目を見開いた。
終わり
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アキ(プロフ) - えもう最高すぎます……。続き楽しみにしてます😭💕💕 (2022年10月1日 10時) (
レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 最高です❗️ こうゆうのを待ってました‼️ (2022年8月11日 12時) (レス) id: 6c9eae5177 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - うわああめっちゃすきですこれ！！！更新止まってるみたいなのでよければ再開してほしいです(T_T) (2022年7月23日 18時) (レス) @page24 id: 44246302dc (このIDを非表示/違反報告)
ベリーショート(プロフ) - ミリカんさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2022年4月23日 16時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカん - 最高に面白いです！！更新楽しみにしてます！！ (2022年3月22日 3時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベリーショート | 作成日時：2022年1月5日 23時
