重なる ページ23
「助けて…」
蚊の鳴くような、小さな声がした。
それが少年から発せられたものだと気づいたとき、私はハッと顔を上げた。
なぜか、傷だらけで今にも死にそうな少年の顔が、過去の自分と重なって見えたような気がして目が離せなくなった。目の前の恐怖から手を差し伸べて、助け出してほしい。そう言っているように見えた。
ああ、そうだ。いつから忘れていたのだろう。私の存在意義は呪いを祓うことだけじゃないはずだ。
「…君は大丈夫。傷つくのは私１人だけでいい」
自分に言い聞かせるように、そう呟いた。そして両手を上げた後、呪詛師の方へと向き直った。
「ほら、これで良いのでしょう」
その様子を見た呪詛師は一瞬驚いたような顔をした後、さも楽しそうに大声を上げて笑い出した。
「はははは！！マジかよ！まさか本気でこのガキ助けようとするなんてな！」
呪詛師は少年を掴んだまま、引きずるようにしてこちらに歩み寄ってくる。
「アンタ、冷たそうに見えて情とか持ってんのな。それとも、コイツ見捨てて上に干されるのが怖いのか？」
私が無抵抗であるということを確認すると、呪詛師は呪具を持ち直してさらに近づいてきた。
「俺はさぁ、綺麗なもんに傷をつけるのが大好きなんだよ。弱い奴をいたぶるのもだ」
呪具の刃先が、左腕に食い込んだ。鋭い痛みと共に、真っ赤な鮮血が着物の袖を濡らしていく。
「へぇ、顔色変えねぇの」
ずぶり、また深く刃が食い込む。腕が痺れるような感覚がした。着物の袖を濡らすことはおろか、アスファルトの上に血が滴り落ちていく。
「生まれ持った力を使って金を稼いで、何が悪いんだ？人を殺して金儲けすることの何が悪いんだよ。世の中力を持った奴が上なんだ」
するり、男の腕から少年が抜け落ちた。
「なぁ、アンタも仲間にならねえか？楽に金が稼げていいこと尽くめだろ。俺はこの時をずっと待ってたんだぜ」
腕の痛みなんて、最初から感じていない。私は何年もあの家で耐えてきたのだから。虎視眈々と、狙っていた。
「ええ、私も待ってましたよ。この時を」
瞬き一回。男の隙が生じたのを、私は見逃さなかった。
呪力で強化した右手を手刀にし、男の肋骨の隙間目がけて突き刺した。骨が砕ける感触。痛みを感じさせるよりも速く、男の顎目がけて膝蹴りを喰らわせる。粉砕した顎の骨が皮膚を破り、男の口からは鮮血が溢れ出た。
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アキ(プロフ) - えもう最高すぎます……。続き楽しみにしてます😭💕💕 (2022年10月1日 10時) (
レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 最高です❗️ こうゆうのを待ってました‼️ (2022年8月11日 12時) (レス) id: 6c9eae5177 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - うわああめっちゃすきですこれ！！！更新止まってるみたいなのでよければ再開してほしいです(T_T) (2022年7月23日 18時) (レス) @page24 id: 44246302dc (このIDを非表示/違反報告)
ベリーショート(プロフ) - ミリカんさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2022年4月23日 16時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカん - 最高に面白いです！！更新楽しみにしてます！！ (2022年3月22日 3時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベリーショート | 作成日時：2022年1月5日 23時
