息の根が止まるまで【呪術廻戦】

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一頻り笑ったかと思えば、今度は顎に手を当ててこちらを物色するような視線を向けてきた。



「それにしてもアンタ…見れば見るほど良い女だな。手塩にかけて育てられた奴はみんな上玉に成長すんのか？

…そうだ。俺の女になるってんなら、命だけは助けてやってもいいぜ」




気色の悪い目つきでこちらを見てくる男に、最大の嫌悪を込めて睨みつけた。



「おお、怖い怖い。でも気ぃ抜いてると痛い目見るぜ」


呪詛師との間の数メートル間。それまで息を潜めていた巨大な呪霊が、私を喰らおうと大口を開けて襲いかかってくる。





「…あなたのような身の程知らずは初めてですよ。私が、手塩にかけられて育てられた、ですって？」



何も知らないからそんなことが言えるんだ。


沸々と自身の中で湧き立つ怒りさえも、呪力に変換する。ポテンシャルを最大限に広げるイメージをしながら印を結び、身体の中からありったけの呪力を押し出していく。


ピリピリと、周囲の空気が振動する。その様子にさっきまでと打って変わり、呪詛師の顔はみるみるうちに青ざめていく。








「図に乗るなよ＿＿＿領域展開」


術式の最終段階であり、呪術戦の極致。まだまだ未完成の領域だが、手っ取り早く呪霊を祓ってこの結界から抜け出すにはこれが最善の手段だと考えた。




＿＿＿臥籠冥闇獄(ふせごめいあんごく)



周囲一帯を閉じ込めるように、闇が牢獄のようになって塗りつぶしていく。



呪霊の結界を破る勢いで自分の領域を押し広げる。領域のぶつかり合いでは、より洗練された術がその場を制すると五条さんは言っていた。


未完成とはいえ、呪霊より私の方が上だということだ。



「領域展開だと…！！？ここまでの術師が禪院家にいるなんて聞いてないぞ！！」


「言ってないからな」



影を媒体とし、式神と共に呪霊に攻撃を仕掛ける。図体はでかいが、宿儺の指を取り込んだ廃病院の呪いよりかは格下だろう。次々と肉を抉り落とし、確実に呪霊を弱らせていく。






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補足します。

主人公の術式は伏黒くんと同じですが、生得領域は心の中を表すので人によって違うという解釈をしています。

ですので、領域展開も人によって違うのでは？と思い、伏黒くんの嵌合暗翳庭とは違う名前にしました。能力は大体同じです。

臥籠(伏籠)は、伏せて中に鶏を入れる籠という意味があり、主人公の禪院家での生い立ちをイメージしてつけました。

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