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禪院家を出る。


これは、私がずっと望んでいたことだ。





「…言える、わけがない…」


力が抜け、へたりとその場に座り込んだ。ひんやりとした廊下は、私の心までも冷たくしていくような気がした。





都合の良いお人形()がいなくなる。そんなことを、直哉兄様が許すはずがない。


きっと昔みたいに痛めつけられる。もしかしたら、殺されるかもしれない。人は、心の奥底に植え付けられた恐怖にはそう簡単に抗えない。



なんて、臆病者なのだろう。










「…五条さん」



不意に、頭に思い浮かんできた。





"君自身が変わらなきゃ、何も変えられないよ"




あの日の言葉を、思い出した。私は、まだ何も行動に移していない。ここで諦めたら、私は私でいられなくなってしまう。




「私は、呪術師だ」


いつまでも、直哉兄様の人形でいるわけにはいかない。自身を奮い立たせ、立ち上がった。自分できっかけを作ろう。この関係を壊してこそ、私は自分の存在意義を知る。



たとえ悪い方に転がったとしても、後悔しない選択をしよう。







不意に、携帯から通知音が鳴った。開いて確認すると、緊急任務の要請の文字が。










.










「なぁ、後どのくらいかかるん?」


「10分ほどです。急ぎますので」




直哉兄様の問いかけに、運転席の補助監督が答える。先の緊急任務の発生場所から最も近いということで駆り出されたわけだが、まさか直哉兄様と共同任務になるとは。



自分を活気づけたばかりだというのに、なんだか運が悪い。





直哉兄様と2人、後部座席に腰を下ろして移動すること数十分。資料に目を通し、情報の確認をしながら、ぼんやりと思考を馳せる。


今まで直哉兄様と共同任務になったことがなかった。今回、初めて2人で任務をこなすことになる。足を引っ張らないように尽力しなければ。






「…着きました。ここから先は徒歩になります」


車から降りた後、それを目の前にした。禍々しい呪力の威圧感に影響され、昼前だというのに周囲が暗い。


1級…いや、下手すれば特級案件か。






ここは、京都最恐と称される心霊スポット。"出る"と噂のトンネルだ。しかしなぜ、緊急任務になるほどの事態になったのか。かねてより、この場所は度々呪術師が様子見に来ているはず。




まさか、また両面宿儺が…?




嫌な考えが頭をよぎった。しかし補助監督によって現状の説明を受け、その考えは杞憂に終わることとなる。

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アキ(プロフ) - えもう最高すぎます……。続き楽しみにしてます😭💕💕 (2022年10月1日 10時) (レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 最高です❗️ こうゆうのを待ってました‼️ (2022年8月11日 12時) (レス) id: 6c9eae5177 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - うわああめっちゃすきですこれ!!!更新止まってるみたいなのでよければ再開してほしいです(T_T) (2022年7月23日 18時) (レス) @page24 id: 44246302dc (このIDを非表示/違反報告)
ベリーショート(プロフ) - ミリカんさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2022年4月23日 16時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカん - 最高に面白いです!!更新楽しみにしてます!! (2022年3月22日 3時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベリーショート | 作成日時:2022年1月5日 23時

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