夢現 ページ15
「直哉…兄様…？」
声を絞り出すようにして名前を呼ぶも、直哉兄様の反応はない。まるで聞こえていないようだった。輪郭に沿って滑る手はやがて顎までやってきて、上を向くように力強く掴まれる。さっきより、ぐっと顔の距離が近くなった。
「…他の男には渡さへん。Aは俺の…」
静かだが、強い思いが込められたような声だった。熱を孕んだような直哉兄様の目が鋭く細められ、その眼光に思わず身体がすくんでしまう。
「＿＿なーんてな」
パッと手を離され、バランスを崩しそうになりながらもなんとか足に力を込めた。満足したように微笑む直哉兄様が視界に映る。今までにない事態に、相変わらず思考が追いつかない。
新手の嫌がらせにしては、随分とタチが悪いな。
「それ運んだら、はよ寝や。任務で疲れてるやろ」
そう言って直哉兄様は自室に戻っていった。さっきまで触れられていた頬に手をやってみると、仄かに直哉兄様の体温が残っているようだ。五条さんに触れられた時とは違い、私の中に渦巻くのは困惑だけだった。
「…本当に、どうしたのでしょう」
今日は変なことばっかりだ。これ以上考えても他人の心が読めるわけでもないので、再び足を動かすことにした。
.
「…おい、こんなところで何してんだ」
懐かしい匂いがした。
ふと目を開けると見慣れない庭の景色が広がっている。ここは普段滅多に人が近寄らない、古くて寂れた禪院家の離れだ。
声のした方に目を向けると、背の高い男性がこちらを見下ろしていた。影が差していて顔がよく見えないが、口元に傷があることがわかった。しかしどこか違和感を覚える。
「見つかったらまた連れ戻されちゃうから。隠れてるの」
私の声だった。その途端ズキズキとした痛みが全身に広がり、縮こめた身体に目を向けてみると道着のあちこちに血が滲んでいた。手の爪は数枚剥がれているし、口の端が切れているため喋るたびに血の味が広がる。
それで隠れてるつもりかよ、と呆れたように言って男性はため息をついていたが、私の傷を見てハッとした顔つきになった。
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アキ(プロフ) - えもう最高すぎます……。続き楽しみにしてます😭💕💕 (2022年10月1日 10時) (
レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 最高です❗️ こうゆうのを待ってました‼️ (2022年8月11日 12時) (レス) id: 6c9eae5177 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - うわああめっちゃすきですこれ！！！更新止まってるみたいなのでよければ再開してほしいです(T_T) (2022年7月23日 18時) (レス) @page24 id: 44246302dc (このIDを非表示/違反報告)
ベリーショート(プロフ) - ミリカんさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2022年4月23日 16時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカん - 最高に面白いです！！更新楽しみにしてます！！ (2022年3月22日 3時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベリーショート | 作成日時：2022年1月5日 23時
