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「家を出たいとは思いますが…約束してしまったので」
「チッ、また
真希ちゃんの言うことは最もだ。"縛り"を結んだわけではないので、約束を破ることもできる。ただ、それをする勇気が私にはないだけ。
「直哉兄様に怒られるのが、怖いから…」
私の言葉に、真希ちゃんも口をつぐんだ。この家で一緒に育ってきたからこそ、共感できる痛みがある。男尊女卑の禪院家で女に生まれたこと。その時点ですでに、虐げられるのが当たり前だった。
加えて私は妾の子。非術師の母を持つ私は、禪院家に迎えられた時から落ちこぼれだった。血の半分が穢れていると、家の人間からはよく言われたものだ。今のように人間らしい生活ができているのは、呪術師としての素質があったおかげ。
真希ちゃんには、生まれつき呪力がほとんどない。天与呪縛により、術式を持たないかわりに人並外れた身体能力を持って生まれてきた。呪霊を視認することすらできない真希ちゃんを、家の人間は"落ちこぼれ"と言って虐げる。
昔は、そんな真希ちゃんと自分をよく重ねていた。雑用をこなし、鍛錬に明け暮れた毎日で、同じ痛みをわかってあげられると思っていたから。
だけど真希ちゃんは、私とは違った。どんなに虐げられようと、どんなに傷つけられようと。挫けることなく前を向いて生きている。
痛めつけられることを恐れて、従順な人形に成り下がった私とは、本当に大違いだ。
真希ちゃんは、来年呪術高専に入学する予定らしい。そこで呪いを祓う術を学び、また一層たくましく育っていくことだろう。
「真希ちゃんがいなくなっちゃうと、寂しくなりますね」
しっとりとした空気を変えたくて会話を試みてみたが、口下手な私が言葉をつぐむのは逆効果だったかもしれない。空気を変えるどころか、より重たくなってしまった。
それでも、真希ちゃんは笑顔を見せてくれた。
「大丈夫だよA。私が呪術師になって出戻ったら、家の連中を見返してやるんだ。そしたら、Aのことも自由にしてやれるからな！」
その言葉に、思わず目を見開いた。嬉しさが胸いっぱいに広がる一方で、後ろめたさで恥ずかしくなった。私は自分のことで精一杯なのに、真希ちゃんは、私のことまで気にかけてくれている。
「私も、真希ちゃんみたいになりたいです…」
心の底から、そう思って出た一言だった。
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アキ(プロフ) - えもう最高すぎます……。続き楽しみにしてます😭💕💕 (2022年10月1日 10時) (
レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 最高です❗️ こうゆうのを待ってました‼️ (2022年8月11日 12時) (レス) id: 6c9eae5177 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - うわああめっちゃすきですこれ！！！更新止まってるみたいなのでよければ再開してほしいです(T_T) (2022年7月23日 18時) (レス) @page24 id: 44246302dc (このIDを非表示/違反報告)
ベリーショート(プロフ) - ミリカんさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2022年4月23日 16時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカん - 最高に面白いです！！更新楽しみにしてます！！ (2022年3月22日 3時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベリーショート | 作成日時：2022年1月5日 23時
