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襖を開け、正座をしたまま(こうべ)を垂れる。ゆっくりと頭を戻した後、瞳に映るのはいつもと変わらない直哉兄様の姿だった。風呂上がりだろうか、仄かな石鹸の香りが鼻を掠めた。




「失礼します」


お膳を持ち直し、用意されている座布団の前へと運んだ。和で統一された精進料理は、相変わらず質素な印象を受ける。個人的な意見だが、正直あまり美味しくない。




「おおきに。任務帰りやのに悪いなぁ」


言葉とは裏腹に薄ら笑みを浮かべる直哉兄様。未だに目を見て話すことはできないが、その表情はよく読み取れる。"お前は女で、俺の妹やねんからこのくらい当然やろ"、というのが兄様の本心だろう。本音と建前ってやつだ。



「いえ、私の役目ですから」


自分に言い聞かせるように言葉が出た。直哉兄様の機嫌を損ねないようにする生活にも慣れたものだ。同じ過ちを繰り返さないように、受けた罰の数だけ人は学ぶ。



また後ほど下げに参ります、と告げて踵を返した。いつもと同じセリフに、いつもと同じ行動。何年も繰り返されてきたこの行為にも、いつかは終わりが来るだろうか。





.





「Aじゃん。帰ってきてたんだな」


「…真希ちゃん?」



暗い廊下の先に捉えた人影。おかえり、と声をかけてくれたのは、従姉妹の禪院真希だった。鍛錬を終えた後なのだろう、目を凝らしてよく見ると、あちこちに打撲傷があった。



「真希ちゃん傷が…手当てをするので、ついてきてください」



手をとって廊下を歩こうとするも、それを静止された。




「大丈夫だって。これくらいなんともねぇ」


「真希ちゃんは美人さんなんですから。跡が残ったりしたら嫌です」



またそれかよ、と言って真希ちゃんは照れくさそうに頭をかいた後、好きにしろ、と言って大人しくついてきてくれた。



自室にたどり着くと、運んでもらっていた食事を隅の方へどかし、真希ちゃんのために座布団を用意した。ありがとう、と言って真希ちゃんが座ったのを確認して、救急箱を手にして向き直った。


患部に消毒をし、湿布やガーゼ、包帯を使って手当てを施していく。



「やっぱAにやってもらって良かったわ。自分じゃこんな綺麗にできねぇしな」


真希ちゃんが笑った。その笑顔を見て、私もなんだか安心した。



「なぁA。いつまでこの家にいるつもりなんだ?」


真希ちゃんの言葉に、一瞬手が止まった。今日の五条さんとの会話を思い出しながら、口を開く。

・→←禪院家



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アキ(プロフ) - えもう最高すぎます……。続き楽しみにしてます😭💕💕 (2022年10月1日 10時) (レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 最高です❗️ こうゆうのを待ってました‼️ (2022年8月11日 12時) (レス) id: 6c9eae5177 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - うわああめっちゃすきですこれ!!!更新止まってるみたいなのでよければ再開してほしいです(T_T) (2022年7月23日 18時) (レス) @page24 id: 44246302dc (このIDを非表示/違反報告)
ベリーショート(プロフ) - ミリカんさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2022年4月23日 16時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカん - 最高に面白いです!!更新楽しみにしてます!! (2022年3月22日 3時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベリーショート | 作成日時:2022年1月5日 23時

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