秘密の片思い…のはずだった

6話 ページ6

A「工藤君がいない…?」

　蘭ちゃんから電話がかかってきたのは夜、焦ったような声が聞こえてきて私はスマホを落としそうになった。どうやら家に帰ろうとしたときに何処かに行ってしまい、それから連絡がつかないのだとか

蘭「これから新一の家に行くつもりなんだけど、もし新一から連絡が来たら教えて」

　「わかった」と言って電話を切るが、わざわざ工藤君が私に電話をかけてくることはないと思っている。…私にかけるぐらいだったら蘭ちゃんにかけるはずだし…と思いながらも工藤君からの電話を待っている自分がいることに気づき、机にスマホを置いてベッドにダイブした。

A「…約束、守ってくれるよね…?」

　先日の工藤君に二度と会えなくなってしまうんじゃないかという嫌な予感が彷彿と蘇って来て、もしかしたら本当にあの時の予感が的中してしまうんじゃないかと怖くなる。
頬を叩いて、自分に大丈夫だと言い聞かせた。…きっと、工藤君が電話に出なかったのは電池が切れたとか、どこかに落としてしまったとか…蘭ちゃんが工藤君の家に行けば普通に家にいてくれるはず…そう思っていたのに…蘭ちゃんが言うには工藤君は結局家にいなかったらしい

A「うそ…でしょ…」

　足に力が入らなくなり、しゃがみ込みながらか細い声でそう言うとそれを悟ったのか蘭ちゃんは「安心してAちゃん」と優しい声で言われた。いつの間にか目尻に溜まってしまった涙を拭いながら「え?」と聞き返すと、どうやら工藤君は無事らしく、事件の依頼を受けてどこかに行っただけらしい。

蘭「全く、新一のやつAちゃんを泣かせるなんて許さないんだから…」

　おこりながらそう言う蘭ちゃんのおかげで少し落ち着いた私は「ありがとう」と伝えて電話を切った。…泣いたのなんて久しぶりだな、と思いながら目元をごしごしと拭った。

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