月夜に咲く花 FirstSeason

35話　懇願 ページ36

Aside

　私や快斗君が俳優さんたちを見送っていると、蘭に「ねえ、ちょっと」と袖を引かれた。

蘭「両親のところにいたなら、連絡ぐらいしてよね。それに、新一だってAを見つけたならそう言ってくれればよかったのに…」

新一「ワリイワリイ。オメーの驚いたキュートな顔が見たくってな」

　快斗君…新一はそんなこと言わないよ…急にそんなこと言われて蘭だって顔真っ赤にしてるだろうな、と思って蘭の顔を見るが、心なしかなんか冷たい目で快斗君を見ている。
　するといきなり蘭が快斗君の胸ぐらをつかんで小さな声で話し始めた。…いくら快斗君だってわかっててもしんどいな…全然ラブラブって感じしないけど顔近いし…

コナン「ねえ、お姉さん」

　急に服の袖を引っ張られたかと思うと袖を引っ張っていたのはコナン君だった。
私は、コナン君の身長に合わせてしゃがみこんで「どうしたの?」と尋ねると、

コナン「お姉さんって、蘭姉ちゃんや新一兄ちゃんと知り合いなんだよね?」

　私がこくりと頷くとコナン君は「じゃあさ…」とちょっと険しい顔をして

コナン「あの新一兄ちゃん、本物だと思う?」

　そういった時の新一の目は、まるで「偽物だと思う」と言ってほしいと懇願しているような目だった。私は心の中で何度目かもわからない謝罪をしながら

A「本物だよ。…そういえば、新一がキッドだって最初に言い出したのはあなただったわね。…まだ疑ってるのかな?」

　困ったように笑いながらそう尋ねるとコナン君は悲しそうに「そっか…」と笑って

コナン「僕は江戸川コナン、よろしくね…A姉ちゃん」

　そういったコナン君の姿が、幼いころの新一と重なったのは私だけの秘密…

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