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Kana side
A 「お互い頑張ろ、華菜」
『うん』
部活が始まる前に人目のつかない体育館裏に拓弥を呼んだ。
いくら本人に気持ちがバレてたって、
今日はちゃんと伝えるって決めたから。
拓弥 「華菜ー」
『あっ……ごめん、部活前やのに呼んで』
拓弥 「別にいいよ、部活サボりたいし」
拓弥は片方の手をブレザーのポケットに突っ込んで、
もう片方の手で頭を掻いてる。
『拓弥どんくらいもらった？』
拓弥 「あーバレンタイン？」
『うん』
拓弥 「ほとんど断ったから無理やり渡されたのいれて4個」
『そっか…』
拓弥 「で？ 俺のもらったバレンタイン5個にしてくれないの？」
……ずるいなぁ、もう。
『……はい』
拓弥 「ありがと」
拓弥に、ってバレンタインを渡そうとして断られる女子なんて大量にいたのに、
私のは受け取ってくれるんや、って嬉しい気持ちと、
Aからもらった時の拓弥の顔が離れなくて悲しい気持ちが交差する。
『あのさ』
拓弥 「んー」
『もうバレてるのは知ってるし、返事も分かってるけど……』
『私、拓弥が好き』
『1年前からずっと』
拓弥 「………ん、知ってる」
拓弥 「俺がAのこと好きだって気付いたの、華菜のおかげだから」
『え？』
拓弥 「……お前の気持ちに気付いて、Aへの気持ちに気付いた」
拓弥 「だから感謝してる」
拓弥 「でも…華菜の気持ちには答えられない、ごめん」
拓弥 「たぶんこれからも俺の気持ちは変わらない」
拓弥 「Aが好きな気持ちが消えるとは思えない」
告白して、私はどうなると思ってたんやろう…？
でも……こんなにはっきりと言われるとは思わなかった。
はっきり言われた方が清々しくていいとか言うけどそんなの全くない。
拓弥が部活に行くのを見送ることもできず、
私は泣きながらAの家に無意識に向かっていた。
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作者名：たれめ | 作成日時：2021年7月8日 11時
