144 ページ44
You side
『別れよ』
こう言うのがどれだけ辛かったか。
『無理やり付き合わせてごめん』
泣くなんて絶対に嫌やったから。
言い逃げするしかなくて、私はすぐにその場を去った。
勇斗から別れを切り出された時と立場が変わった。
でも立場ともう一つ違うことは、
あの時は私は勇斗のことが好きやった。
でも、太陽は私のことが好きじゃない。
ただそれだけ。
それだけのはずが、それが一番辛くて仕方なかった。
華菜のこと好きでもいい、なんて強気なこと言って、
華菜のこと忘れさせられる、なんて自信ありげなこと言って、
どうせ辛くなるだけなんて簡単なこと、
なんでわからんかったんやろ…？
私たちが付き合っても、華菜と拓弥の関係は変わらなかった。
それが一番、太陽にとって諦めきれない理由やったと思う。
華菜のことをいつも見つめてる太陽を見るのは辛かった。
一緒に帰っててもうわの空の時もあって、
華菜のことを考えてるなんてバレバレ。
家に帰って部屋に入った瞬間、私は泣き崩れた。
大好きやったのに。
なんで自分が好きになった人とは上手くいかないかな。
「A」
『………ゆ…うき…』
『なん…で…』
祐基 「声聞こえたからさ」
祐基 「入れてもらった」
もうどうしたらいいのか分からなくてなって、
ただただ祐基に抱きしめられたまま、私は泣き続けた。
祐基 「………好きだよ」
『っ…』
祐基 「俺なら泣かせたりしないよ」
祐基 「Aのことだけがずっと好きだから」
私がフッたとはいってもフラれたようなもの。
フラれた時にそばにいてくれる人を好きになるなんてベタな展開だと思ってる。
でも、好きになるとまではいかなくても………少し心が揺らいだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たれめ | 作成日時：2021年7月8日 11時
