初めまして 十四項目 ページ16
『おいこら鶴、一期...てめぇら、これは一体どういうことだ?ちゃんと説明しやがれ』
目の前で凄んでいる主殿に私はただ、懸命に目を反らすことしか出来なかった。
太宰殿には、部屋の外で待機してもらっている。本当に、申し訳ありませんな...
「君が偽名を使うんだったら、一緒にいる俺たちも偽名でないと可笑しいだろう?刀だってことも黙っておきたいし...それに、君のボディーガードということも強ち間違ってはないぜ?」
何故か胸を張ってドヤ顔をしている鶴丸殿。
全く反省をしていない様子の彼に、主殿から溢れ出る怒りのオーラが更に増した。
そんな彼女に、私は笑うしかなかった。
『鶴は後で殴るとして...一期も一期だ。なんで早々に裏切ってくれた!?救護要請に気付けよこのロイヤル野郎!しかもお前、守護者て...』
「あはは...すみません、楽しくてつい...」
『良い笑顔だなこんちくしょう』
ジト目を向けてくる主殿に、私は謝罪の言葉を述べる...が、どうやら顔が笑っていたようで。主殿は「もうやだコイツら...」と、毛布に顔を埋めてしまった。
『...皆、無事かな』
ボソッと呟かれた言葉に、私は何も言えなくなってしまった。
主殿が目覚めるまでの間、私たちは一度だけゲートを開こうとしたことがあった。その時は開くことも、出現させることすら出来なかったのだが。配布されている電子機器から政府に連絡してみるも、反応はなし。
況してや、本丸の皆が無事だということは全く知る由もなかったのだ。弟たちの顔が脳裏に浮かび、私は拳を握り締める。
その時だ。
「心配するな、主」
黙ってその様子を見ていた鶴丸殿が、主殿の頭に手を置いて撫で始めたのだ。主殿は始めこそ抵抗して撫で付ける手を叩き落としていたが、どうやら諦めたようで。
今は、大人しくされるがままになっていた。
「君が、懸命にレベリングしていた奴らだぜ?そう簡単に負けるはず無いだろう...それに、本丸にはあの無敵の総隊長殿がいらっしゃる」
「加州殿は、お強いですから...」
加州清光殿...我が本丸の初期刀にして最強。
少なくとも、彼が勝負に負けて膝を付いているところを、私は見たことが無かった。
私の、憧れでもある。
『...当たり前だろ、私の初期刀なんだから...』
そう言って、主殿は顔を背ける。
ほんのりと紅く染まっている彼女の頬を、私は直視することが出来なかった。
___主さんと総隊長さんはね!
昔聞いた乱の言葉が、脳に響いていた。
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ファーストMe - めちゃくちゃ面白いです(о´∀`о)更新頑張ってください! (2017年2月25日 15時) (レス) id: 4d48430878 (このIDを非表示/違反報告)
神歩(プロフ) - 杏仁豆腐さん» うぁぁ(自慢)だなんて!嬉しい限りです!もちろん、乗せて頂くのはOKです☆ありがとうございます(o^^o) (2016年12月30日 23時) (レス) id: 64d455b767 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐 - 神歩さん» いえいえ!描いて頂き、本当にありがとうございました!確認次第、小説の方に載せさせて(自慢)頂きたいのですが...よろしいでしょうか? (2016年12月30日 20時) (レス) id: c00500378b (このIDを非表示/違反報告)
神歩(プロフ) - 杏仁豆腐さん» あ、はい!そうです。杏仁豆腐さんのボードにURL貼らせて頂きました。説明不十分ですみません汗 (2016年12月30日 20時) (レス) id: 64d455b767 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐 - 神歩さん» ありがとうございます!えーっと...ボードの方でよろしいのでしょうか? (2016年12月30日 19時) (レス) id: c00500378b (このIDを非表示/違反報告)
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