過保護が十二振り ページ13
突然だが、私の話を聞いてくれ。
魔法の言葉を駆使し、よもや殺戮犯になろうとしていた刀剣たちを止めたのはいい。
ここまでは良かった...ここまではな。
「さぁ、私と共に二人きりの場所へ...さぁ」
『...いたた』
主に、二つ以上の意味で。
「主、主命を解け...今すぐにだ」
「あるじさ〜ん、そんな変人の相手しちゃダメだよ〜?
さ!早く主命を解いてよ...そいつ消すから」
「鬼だろうがなんだろうが...斬っちゃうよ?」
『おいこら、最後』
上から巴形、乱、そして髭切である。
取り敢えず、この主命だけは解いてはいけない気がするので続行しておこう。
...でなければ、目の前が紅く染まることになるからな!!
最早自力で主命という名の言霊を破ろうとしている刀剣たちに冷や汗を流しつつ、私は今尚眼前で跪いている(恐らく)見習いの人へと視線を向けた。
此方に向けられている青み掛かった瞳に、さらさらと風に揺れている短髪。
うん、イケメンだな...跪いてなければだが。
どういう反応をすれば良いのか迷っている私を見てなのか、柔らかな微笑みを浮かべて見習いの人が口を開いた。
「おっと、失礼...自己紹介がまだだったね。
私の名前は玲、本日からこの本丸に見習いとしてお邪魔させて頂く者だよ。
気軽に玲、とでも呼んでくれ」
『...え、あ、うん。
私はA、この本丸で審神者をやって...』
「あぁ、知っているよ。
...君のことなら、全てね?」
私の言葉を遮り、意味深な笑みを浮かべる見習い...玲。
これまた意味深な言葉を投げ掛けてきた彼に、私はそろそろ考えることを止めようと思う。
これは聞かない方が良い...いや、聞いちゃダメな部類の話だ。
「審神者No.16795、A。
齢20にして、巴形薙刀までの全ての刀剣男士を顕現させることに成功...初期刀は加州清光、初鍛刀は薬研藤四郎でカンスト済み。
ここ最近のマイブームは短刀たちの頭を撫でて癒されることで、悩み事は過保護すぎる刀剣たちを如何にして避けるか。
昨日行った茶店で食べたものは...」
『ストップストップ、タンマ』
うん、大体は分かったよ。
引き吊る頬を何とか収めつつ、私は未だに語り続ける玲を冷たい視線で見詰める。
殺傷事件にはしたくないので善処はするが...
『あんた...私のストーカーか?』
...絶対とは言っていない。
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39(プロフ) - コメント失礼します。 過保護素晴らしいですね。これからも応援しています。更新頑張ってください。 (2018年1月18日 16時) (レス) id: e9686b26d6 (このIDを非表示/違反報告)
雫 - もうこの小説大好き(真顔) (2018年1月17日 16時) (レス) id: ae7acc3881 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - とても素晴らしい作品ですね!これからも頑張ってください!応援してます! (2017年9月22日 22時) (レス) id: 487e55f362 (このIDを非表示/違反報告)
カノト(プロフ) - 合作募集のものなのですが……刀剣乱舞だったら合作依頼をしたいです……!キャラ崩壊とか酷いと思いますが…… (2017年9月9日 19時) (レス) id: a01b9f2740 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽りお(プロフ) - リクエストで、あまりにも刀剣たちが過保護すぎてストレス溜まって情緒不安定になっちゃって、逆に刀剣達に甘え始めちゃう夢主ちゃんがみたいです!過保護な刀剣可愛すぎです(笑) (2017年8月24日 21時) (レス) id: fe37e3a36d (このIDを非表示/違反報告)
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