24話 闇を纏いしその瞳 ページ26
『...つるたん？』
正装から何時もの服装に着替えたAは、閉めきられたとある一室の前で足を止めた。
恐る恐るといったような、小さな声音で障子の向こう側にいる刀へと声を掛ける。
しかし、いくら経っても返事は返って来なかった。
鶯丸が薙刀を担いでいった後、Aはいつの間にかあの場から居なくなっていた一振りのことを探し回っていた。
客間にも居なかった白い刀剣に、先ほどのこともあって腹が立っていたAは、霊力探知という手段を持って彼の居場所を突き止めたのであった。
そして、今に至る。
『...入るッスよ？』
痺れを切らしたAは一つため息を吐き、ゆっくりとした動作で障子をスライドさせる。
ひょっこりと顔を出して、中の様子を確認し始めた。
ぐるりと辺りを見渡し、とある一ヶ所で視線をを固定させる。
そこに居たのは、白い大福のように丸まっている鶴丸国永であった。
彼はAの呼び掛けに応答せず、まるで人形のようにぴくりともしなかった。
『大丈夫ッスか？
何処か痛むところとか...』
「...出ていってくれ」
部屋の中に足を踏み入れ、鶴丸の元に歩み寄るA。
そんな彼の歩みを、白い彼がか細い声で制した。
Aは足を止め、真っ直ぐな瞳で鶴丸のことを見詰める。
彼の身体は、小さく震えていた。
『...なんで？』
「俺は...役に立たない、駄目な刀だ...！
戦場に立つことすら許されない、要らない存在なんだ！！
だか、ら......！」
Aのや問い掛けに、鶴丸は堰が切れたように声を荒げる。
痕が残るほどに自身の腕を鷲掴んでいる彼は、伏せていた顔を上げてAの方を見やった。
涙に濡れたその瞳は、光を宿してなどおらず、闇を帯びているように見える。
『...だから、折れたいと？』
「...っ、」
突然発せられた、地を這うような低い声。
鶴丸は大袈裟に肩を揺らし、その涙に濡れている瞳を大きく見開いた。
目の前に立つ人間...Aの放つ威圧感が、鶴丸の背筋を凍りつかせていた。
『役に立たない？駄目な刀だぁ...？
...笑わせんな』
「...っ、君に何が分かる！？
何時もヘラヘラと笑っているだけの君に...！！」
『ああ、分からないね。
て言うか、分かりたくもねぇ！！』
「...の、やろ！！」
自らを挑発するかのように鼻を鳴らすA。
次の瞬間、鶴丸はAに向かって掴み掛かっていた。
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あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (
レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです！続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でｯ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします！続き楽しみにしてます！ (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
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