23話 腕の見せ所 ページ25
『だから、無茶はしないでって言ったじゃないッスかぁ...!!』
「ははは、悪い悪い」
「反省はしている」
子どものように泣きべそを掻くAに、謝罪の言葉を述べる二振り。
この二振りは何れも、身体中に斬り傷を作っていた。
頬を伝う赤い体液を見て、Aは自身の瞳に更なる涙を溢れさせる。
泣きついてくる自身の主に、傷だらけの二振り...鶯丸も山姥切も、肩を竦めるだけであった。
つい先刻、暴れまわる薙刀を斬り伏せた彼らは身体を襲う疲労感に、ついつい尻餅を着いてしまう。
数メートルほど離れた場所で仰向けに倒れている薙刀は、その意識を手放していた。
「気絶させなければならなかったからな。
懐に入り込むのに時間を要した」
「俺は、山姥切が誤って折ってしまわないかが気になって仕方がなかったな」
『あはは。
いくら能筋とはいえ、流石にそれは...』
「...」
『まんばたん?黙るの止めて何か言って』
懸命に顔を反らす山姥切に、Aは背筋が凍るような感覚に襲われた。
こいつ、斬り掛けたな...そんな考えが頭を過るまでに、そう時間は懸からなかったとAは後に語る。
「そんなことはさて置き、問題は彼奴をどうするかだ」
『見事に話を摩り替えたッスね』
じと...というAと鶯丸の視線に耐えきれなくなったのか、山姥切は無理やり話題を変えるという強行突破に出る。
その剰りにもの態とらしさにツッコまれるも、彼らもそのことを気にしていたようで。
一人と一振りは、未だ起きる兆しのない薙刀へと視線を向けた。
『起きたら、絶対また斬り掛かってくるッスよね』
「その時はその時。
もう一度斬り伏せるだけだ」
『さっすが能筋、考えることが違う』
「あんたで試し斬りしてやろうか?」
「そこまでにしておかないと、後が怖いぞ?」
つい何時もの調子で言い争いに発展するAたちに、鶯丸は鶴...いや、鶯の一声を発する。
その不安を煽る言葉に、言い争っていた一人と一振りは口を紡いだ。
「さて、と...こいつのことは俺に任せてくれないか?
なに、無茶はしないさ」
『はぁ!?一人じゃ危険ッスよ!!
俺も一緒に...』
「Aは本霊還しで疲れが溜まっている...それに、ここは俺の腕の見せ所だろう?」
信じてくれ...そう言わんばかりの視線に、Aは何も言えなくなった。
そしてため息を吐き、渋々了承の言葉を述べた。
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あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです!続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でッ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします!続き楽しみにしてます! (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
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