18話 祓詞 ページ20
『...では、本霊還しを始めるッス』
凛とした声が、何処までも晴れ渡る青空に響き渡った。
準備を終えたAは、客間から皆を連れ出して此処...拓けている庭へと赴いていた。
準備と称して元の服装から神主の衣装...正装へと着替えたAに、鶴丸と秋田は感嘆の息を漏らす。
「わぁ...!凄く似合ってます!!」
「こりゃあ驚いた...君、神主だったんだな」
『まぁ、これでも一応本霊還しを職にしてるッスからね。
大体のことは叩き込まれてるよ』
パチパチと手を叩く秋田に、目を丸くして正装の裾部分を摘まみ上げる鶴丸。
Aはクスクスと肩を揺らしながら、その手に持っていた祓い串を高らかに掲げた。
『護身術と称して、最上祓いも習ったし...式神も飛ばせるッスよ』
「Aって、意外とハイスペックだよな」
つらつらと述べていくAに、薬研は思い出したようにぼそりと呟いた。
本霊還しの最終確認をしているAの表情は、いつの間にか引き締まっていて。
鶴丸は、Aに対する認識を改めざるを得なかった。
『...よし、確認終了。
秋田はその四角の中に入って、気楽にしてて。
薬研、鶴丸を其処から動かさないで』
「は、はい!」
「了解だぜ...“大将”」
てきぱきとしたAの指示に、秋田も薬研も素直に行動を取る。
秋田はAの前方に引かれた四角い枠の中に、薬研はAの側に突っ立ったままの鶴丸を縁側に座らせた。
チラリと覗いたAの横顔に、鶴丸は目を見開くこととなる。
そこにあったのは、何時もの気の抜けた顔ではなく、“本霊還し”としてのAだったから。
『...秋田藤四郎。
これより汝を、神界へと還し申し上げる』
一瞬、Aの青緑の瞳が金色に輝いた。
『掛けまくも畏き
筑紫の日向の橘の小戸の
祓戸の大神等 諸諸の禍事 罪 穢有らむをば
祓へ給ひ清め給へと白す事を 聞こし食せと
恐み恐みも白す...』
地を踏み、祓い串を振るA。
その神々しい様子は、あの鶯丸でさえも釘付けにするものであった。
祓詞を述べ終え、Aは伏せていた顔を上げて秋田を見やる。
その瞳は、やはり金色の光を発していた。
〜〜〜
祓詞は引用させて頂きました。
解釈が間違っていればお教えください。
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あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです!続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でッ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします!続き楽しみにしてます! (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
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