13話 鶯の茶会 ページ15
微笑みを浮かべるAに、気恥ずかしくなった鶴丸が掴み掛かろうと立ち上がったその時。
薬研によって閉めきられていた障子の向こう側から、心地のよい声が聞こえてきた。
「A、少し良いか？」
『その声はうぐたんッスね！
良いッスよ...あ、つるたんも一緒だけど』
その声にいち早く反応したAは、すくっと立ち上がって返事をする。
すたすたと歩みを進め、ピシッと閉められていた障子を勢いよく開け放った。
鶴丸も同じように上半身を起こし、首を伸ばしてAの背中越しから来訪者の姿を確認する。
Aの言った通り、そこに居たのは急須と湯飲みを乗せたお盆を持った鶯丸であった。
「茶を淹れたんだが、付き合ってくれないか？」
『俺は良いッスけど...まんばたんはどうしたんッスか？』
「山姥切にも声を掛けたんだが、フラれてしまってな。
道場に籠ったきり、出てこない」
『また、あの子は...うちの初期刀が、どんどん脳筋化していくッス』
「まぁ、鍛練することは良いことだ。
俺はしないがな」
今尚道場にて竹刀を振り回す山姥切の姿を思い浮かべ、Aは熱くなる目頭をソッと抑える。
そんな主の様子に、鶯丸はクスクスと肩を揺らしながら客間へと足を踏み入れた。
上半身を起こしたままの鶴丸にお盆を預け、襖の中から小さなちゃぶ台を引っ張り出してくる。
折り畳み式の足を立ち上げ、それを部屋の中央付近へと置いた。
「手慣れているんだな」
「まぁな。
これでも、此処での生活は長い方なんだ。
お前も此処に居るんだったら、なんでも聞いてくれて構わないぞ？」
てきぱきとした鶯丸の行動に、鶴丸は感嘆の息を漏らした。
彼の準備したちゃぶ台の上に預かっていたお盆を乗せ、どっかりと胡座を掻いて座り込む。
鶯丸はそのまま、正座をして人数分の茶の用意をしていた。
『あ〜、うぐたん？
お客さんが来店したみたいッスよ』
「客？」
突如響き渡ったAの声に、鶴丸は茶を注ぐ鶯丸の手から開け放たれた障子の方へと視線を写した。
そこに居たのは...
「鶯丸の旦那、茶をあと二振り分淹れてくれ。
旨い茶菓子を持ってきた」
「わぁ...！お茶会ですか！」
「薬研に、秋田...！？」
五人分の茶菓子を乗せたお盆を持つ薬研藤四郎と、その後ろからひょっこりと顔を出す秋田藤四郎であった。
鶯丸は嬉しそうに微笑みを浮かべ、追加の湯飲みを取りに腰を上げた。
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あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (
レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです！続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でｯ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします！続き楽しみにしてます！ (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
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