愛してほしかった (ページ42)

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俺の悴んだ手をAがそっと握って、これであったかい？って聞いてくる。

たまらなく、良い。

「Aが好きだよ。」

こうやって言う事が、人を想う事が、Aを想う事が、幸せだよ。

そしたら、彼女は俺の名前を呼ぶ。

「待ってる方が、辛いんだよ。」

俺に…来てほしかったの？

「俺、いつだってAの所に走って行くよ。」

本当だよ。

だって、今までもそうだったもん。

俺、Aのところに行くのになんの惜しみもしないよ。

「私は…病室でジュニを待ってる。…ジュニは、私が学校に来るのを待ってるでしょ？」

彼女がギュッと力強く握りしめた拳で布団にシワができる。

「きっと、ジュニはずっと辛いままだと思うよ。」

ずっと。ずっと…。

これからも、入院するってこと？

期待に応えられないってこと？

いつもなら、そうやって何度も質問してたはずなのに。

今日は聞かなかった。

あとでその言葉の意味、ちゃんと聞けばよかったって何度も何度も後悔すること、知らなかった。

それから、この時間でさえ大切にすれば良かったって何度も何度も後悔することも…知らなかった。

Aに会えることが、会えたことが、話せたことが、奇跡だって常に思ってるべきだった。

…………いきなりの別れは、辛すぎるよ。