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いつもと違う日。
俺が病院の中に入れば、スアちゃんが1階のロビーのソファーで座ってる。
声をかければ、ぱぁって顔が明るくなって…。
俺の心は満たされる気がするんだ。
Aのところ行くね、って言ったらまた寂しそうな顔をする。
Aがくれないものをくれるんだ。
なのに、俺が会いたいのはくれないA。
ほら、また。
「ぼのに。また会おうね。」
今度は家で、って。
何それ。ずるいよ。
出てきた"ぼのに"がまた俺にお辞儀をして通り過ぎて行く。
今日は、いつも気遣ってたお辞儀を返せなかった。
負けんと俺にだって余裕があるよ、って強がってたのが、今じゃバカみたいだって思っちゃうんだ。
だって、こんなに待遇が違うんだよ?
「ジュニ。何してるの。」
"ぼのに"が俺がいたからか開けっぱなしにしていたドアの奥で、Aが不思議そうに俺を見てた。
「ううん。なんでもない。」
ハッとして、ニコッと微笑む。
Aに近づいて、封筒を手渡そうとした。
寒さのせいか、リュックから取り出した封筒を思わず下に落としちゃって、ごめんねって言ってからまた拾い、軽く払ってから渡す。
ああ、かっこ悪い…!
病室はあたたかいのに、寒いよね、っていう俺の言葉にAは目を細めた。
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作者名:エギのなめこ | 作成日時:2020年6月10日 23時