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引っ張ったまま、沈黙の光。
俺は、光が口を開くまで待とうと、
その場所に再び座り込む。
腕は掴んだまま。
「やぶ…
今日は…泊まってかない?
俺、やぶに頼ってばかりで情けないけど、
もう少しやぶの力を借りてもいい?」
『ちゃんと、ご飯食べるって約束できるなら、
いいよ。』
母さんみたい…
って、笑って
「うん。約束する。」
子供みたいな返事をした。
夕飯をご馳走になり、
お風呂にも入り、
光の部屋に戻ると、
布団が一式
床に敷かれてあった。
光は、先にお風呂を出ていて
ベッドに腰掛けて本を読んでいた。
『この間の本?』
光の隣に腰掛け、
本を覗き込んだ。
「うん。」
手に持っていた栞に
視線を移した光。
「…この栞…。
願掛けなんだ…。」
「桜の花びらを
下に落とさずに3枚掬えたら
願い事が叶うんだって。
あかりが言ってた。」
『願い事…
叶ったのかな?』
「分かんない。
…いつまで効力ってあるもんなんだろ。
もう消えてそうだね。
…この日付みたく …
滲んで見えないや…。」
そう言って
栞を眺めて
そっと本に挟み
そして、閉じた。
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伊野山ヒカルコ(プロフ) - ねね子さん» ねね子さん、ありがとうございます!!自分でももどかしくて笑。でも、このもどかしさのまま突っ走っていきたいと思います。それにしてもねね子さんにそんなに褒められると照れちゃいますよ。そのお言葉に見合う作品に近づけるよう頑張ります! (2018年9月24日 12時) (レス) id: 326c11dd58 (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - も〜ど〜か〜し〜!!でも、もどかしいの好き〜っ!はぁ、すれ違いが切ないよぉ。光くんが儚くて脆くて消えてしまいそうで素敵…感嘆のため息。私には出せない世界観とキャラの雰囲気。すごい好きです。あ〜、あきらめないで薮ちゃん!栞の日付も気になります…o(^-^)o (2018年9月23日 22時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
伊野山ヒカルコ(プロフ) - ねね子さん» ねね子さん、コメントありがとうございます。ねね子さんから感想頂けてとても嬉しいです。もどかしいと感じて貰えて嬉しかったです。狙いでしたので。ねね子さんに読んで貰ってる!と思うと俄然やる気がみなぎってきました!長くなりますが、お付き合いください! (2018年9月15日 23時) (レス) id: 326c11dd58 (このIDを非表示/違反報告)
ねね子(プロフ) - こういう切なくてもどかしお話を読むの好きです♪ わたしの書く光くんは男らしい系だけど、ヒカルコさんの光くんは儚くて脆くて護ってあげたくなります(>_<)。続きがめっちゃ気になる。楽しみにしています(*^O^*) (2018年9月15日 22時) (レス) id: c981404cfd (このIDを非表示/違反報告)
伊野山ヒカルコ(プロフ) - Chacoさん» Chacoさん、コメントありがとうございます!勿体無いお言葉、恐縮ですが、とても嬉しいです。更新頑張ります!感情や行動に理由付けしたいので、まどろっこしい部分があるかと思いますが、どうか今後ともお付き合い下さいませ。 (2018年7月20日 23時) (レス) id: 326c11dd58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊野山ヒカルコ | 作成日時:2018年4月1日 14時